キミと月のブランコ。４ (ページ39)

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「ずっと……ずっと後悔してた。Aと別れたこと。」

やだ………聞きたくないよ。

「自分のせいで仕事上手くいかなくなるのが怖くて、逃げたんだよ俺。」

「隆二………もう、」

「なにがあっても俺は見守ってればよかったんだよ。Aのそばで。」

「もういい。過去のことだよ、私たち。」

お互い気を遣いすぎた付き合いだったんだよ。

言いたいことも言えなくて、すれ違って。

そう受け止めて、終わりにしようよ。

「よくない。俺はもう一度、やり直したい。」

「なんで………なんで今なの？もう、遅いよ。」

「じゃあなんでこれ………まだ付けてんの？」

すっと伸びてきた手が触れたのは、首元にぶら下がるネックレス。

どうしても外せなかった、隆二がくれた月のネックレス。

「…………可愛いから。」

っていうのは本当。

それと、私の行く道を照らして欲しいって思いがあった。

どんなに離れてたって、会えなくたって、迷わず歩けるように見守ってて欲しかった。

でもそれは、少し前までのこと。

だって私に手を差し伸べてくれた人がいるから。

もっと早く外しておけばよかったな。

「自分勝手なのはわかってる。遅いのもわかってる。だけど諦められないんだよ、Aを。」

「そんなこと言われても……私はやっと……隆二のこと忘れようって思えたのに。」

「……………忘れないでよ、俺のこと。」

ネックレスを撫でる隆二は弱々しく声を出す。

「俺もたくさん考えたよ。臣とのことも予想はしてたから、諦めるしかないかなって。でもさ………

考えても考えても、答えはいつも変わらなくて。だから、会いに来た。」

＂ごめんね。"って呟いて、おでこを私の頭に乗せた。

「ずっと、好きだったよ。」

大好きだった、掠れたハスキーな声で。

また魔法をかけようとする隆二。

「今日は、帰るよ。」

含みを持たせた言葉と、変わらない優しい笑顔を残して。

夢ならいいのに……って、そう思った。

でも手首に残った隆二の温もりが、現実なんだと物語っていた。