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「奈央ちゃん…………どうして？」
それはとても急な出来事だった。
いつも通りに仕事を終えていつも通りに帰ろうと思ってた矢先のこと。
「田舎に帰ろうと思って。いろいろと馴染めなかったので。すいません。」
私が着替えるのを待ってた奈央ちゃんは辞表を出してきた。
「本当にそれだけ？この仕事好きなんじゃないの？」
一つ仕事を覚えるごとにすごく嬉しそうにしてて、楽しそうに仕事をしてた奈央ちゃん。
辞めて後悔してほしくない。
「好きです、この仕事も………Aさんも。みんな好きです。だからこそ、自分のことが醜く思えて……もうここでは働けません。」
「そんな理由じゃこの辞表は受け取れないよ私。好きなら続けたらいいのに。」
「田舎にもエステサロンならありますから。環境を変えてみたいんです。私のわがままでご迷惑おかけしますけど、受け取ってください。」
「……勘違いだったらあれなんだけど……私のせい？」
「なに言ってるんですか？」
「私が………隆二と………付き合ったりしたから。」
「それは…………まぁ、嫌だけど好きならしょうがないんじゃないですか？ちょっとムカつきましたけど。」
「そうだよね……でも、私別れたから。」
「えっ？」
「…………フラれちゃった。だから、安心して？」
「安心してって………そんな……喜べませんよ。」
「うん、だよね。喜ばれたら私も、ちょっとムカついてたかも。」
「…………じゃあ喜んでいいですか？」
「奈央ちゃん？」
「本当は少し嬉しいって思っちゃいました。好きな人を取られて悔しくて、嫉妬ばかりして。そんな自分が嫌で嫌でしょうがなかったんです。」
「うん。」
「Aさんのこと好きなのに、Aさんだからいいやって思うことも出来なくて。苦しかった。」
「うん。」
「私のこと、ムカつきました？」
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作者名：taka
| 作成日時：2017年4月10日 22時
