キミと月のブランコ。４ (ページ23)

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23～side 広臣～ページ23

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おぼつかない足取りで少し先を歩くAちゃん。

「今日は月が見えないねー。明日は雨かなー。」

って、空を見上げる。

涙が出てるわけでもないのに、その横顔は泣いてるように見えて。

それでも綺麗だなって思う。

どんどん目が離せなくなって、胸が締め付けれて苦しくなった。

改めて思う、この子が好きなんだって。

Aちゃんの視線の先にはまだ隆二が居たとしても、俺はもうこの想いを消したくない。

ゆっくりでいいから、振り向いて。

そばに行って小さな手を握ると、微かに引いて抵抗された。

「やだった？」

まだ、俺じゃダメ？

俯くAちゃんは顔を横に振る。

「そうじゃなくて…………彼女がかわいそう。私だったら………彼氏が他の子とこんなこと……やだ。」

「彼女がいなければいいの？」

「えっとー。」

「彼女と別れるから………俺のこと……って、ちゃんと聞いてる！？」

「えっとー、はい、聞いて……ます。」

虚ろな目でボーッとし始めたAちゃん。

立ちながら寝そうな勢い。

酔っ払いに何言っても届かないよな。うん。

今日はやめとくよ、俺の気持ち伝えるのは。

「家まで歩ける？」

「うん………歩ける。」

「どっちがいい？抱っことおんぶ。」

「…………おんぶ。」

やっぱり歩けないんじゃん。

「はい、乗って。」

しゃがんで後ろに腕を伸ばすと＂ごめんなさい。＂って静かに体を預けてきたAちゃん。

歩きだすとすぐに寝息をたてて俺の肩に顔を乗せて眠った。

＂好きだよ。＂って想いが届けばいいのにって思いながら頭に自分の頭を寄せた。

グリグリって擦ったらピクッと反応して、

「…………りゅう、じ。」

俺の耳元で、そう呟いた。

一方通行な俺の恋。

もしも叶わない恋だとしても、ずっと隣にいたいし、ずっと見ていたい。

もう理由なんか探さないよ。

会いたいから、俺は会いに行く。

もどかしくて苦しくて切ない恋でも大切にしたいんだよ。