キミと月のブランコ。４ (ページ20)

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20～side 隆二～ページ20

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「こわぁ。てか性格わりぃ。」

ほんと女って怖い。

「その子Aが可愛がってる後輩じゃん。俺のせいで関係崩すとか……やなんだよ。」

「そんなんでAちゃんは納得したの？」

「言ってないよ、こんなことAには言えないよ。」

「隆二さんだって………別れたくなかったんでしょ、どうせ。じゃなかったら、ほっとカルピスなんか飲んでないもんね。」

………………あ、見られた。

バッグに入れた今朝見つけたほっとカルピス。

「この前は全然見つからなかったのにさぁ、今日になって見つけちゃったよ。俺悩んでも悩んでも答え出せなくて………

Aが行くからって言ってくれた後、探し回った。これ見つけたら俺が守ろう、でも見つからなかったら幸せを願おうって。なーんで今日なんだよ。」

「なにそれ、バカじゃないの？全然納得いかないんだけど俺。そんな小学生が花びら数えるみたいに決められたんじゃ可哀想だよ、Aちゃんが。」

「最後の最後まで………悩んだよ俺だって。」

Aの顔を見たらどうしようもないくらい好きだって。

この手を離したくないって。

力いっぱい抱きしめてくれたAを心底愛しいって思ったんだから。

「でも、嬉しそうだったんだよ、職場の話してたとき。」

「だからって別れなくてもいいのに。」

「Aには夢があるから。ここで足引っ張りたくないの俺は。応援したいんだよ。」

傷つけたのは辛いけど、Aが夢を追いかけられなくなったらって思うと怖かった。

一生の後悔になるかもしれないから。

＂はぁー。＂

岩ちゃんの長いため息と一緒に聞こえた楽屋のドアが開く音。

「ごめん………着替えさせて。」

臣が気まずそうな顔して入ってきた。

聞いてたのかな、今の話。

「臣、行っていいよ。あのアパート。」

「ふーん…………わかった。」

＂隆二さん！？アパートって……いいの！？＂

岩ちゃんだけが焦ってる。

いいんだよ、これで。

ひとりで泣いてるかもしれないし。

寂しがり屋のAだから。