キミと月のブランコ。３ (ページ45)

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「なに？」

「電話！！」

「隆二くん？」

「ううん…………臣くん。」

「えぇ！？お、臣くん！？」

「………もしもし。」

顎が外れかけるボンちゃんは置いといて。

電話に出ると、＂あー、俺だけど。＂とあたかも彼氏かと思ってしまうようなセリフを吐く臣くん。

「はい。」

「今、家？」

掴めない、臣くんとの距離感。

「まだサロンです。もう帰るとこだけど。」

「ちょっとだけ待てる？」

「えっ、あー、はい。」

「すぐ行くわ。」

そう言って私の返事を待たずに通話は終了。

「ボンちゃん、今から来るって。」

「はっ！？」

「臣くんが来るって。」

「なんで！？」

「なんでだろう。」

私が知りたい。

「やっと会えるじゃん。良かったね、ボンちゃん。」

念願の生臣くんだよ。

「いや、私もう帰る！」

「なんでよ！ダメだよ帰っちゃ！すぐ来るから待ってて！」

「無理無理無理！ほんと無理！死んじゃう！」

「大丈夫だよ、私だって生きてるんだから！ねっ！」

「えー、どうしようー。私スッピンなんだけど！最悪ー！」

あっ、忘れてた。

「じゃあ軽くしとこっか、メイク。」

「やってやって！こんなんじゃ臣くんに顔見せ出来ない！」

「スッピンでも可愛いのに。」

「女の可愛いほど信用出来ない言葉はないから。」

…………たしかに。

軽くなんて言っておきながら、楽しくなった私はバッチリメイクを施した。

「はい、出来た！」

「さすがだぁ。数分でこんな完璧なメイク出来るんだ。」

鏡の前で自分の顔にうっとりしてるボンちゃん。

「可愛さ２割増だよ。」

「悪かったねぇ、スッピンがホンコンで。」

「そんなこと言ってないけど。」

ホンコンはやべぇよ。

「あっ、ねぇ、このグロス付けてもいい？」

ホンコンがグロスを欲してるとか。

超ウケる。