キミと月のブランコ。３ (ページ43)

今日:14 hit、昨日:8 hit、合計:1,122,525 hit

43 ページ43

.

＂家に居るの？＂

"うん、今帰ってきたとこ。隆二は？＂

＂俺も、さっき帰ってきた。＂

居場所の確認をしただけのそんな電話。

通話時間は１分半くらい。

＂おやすみ。＂

それだけ言い合って、同時に切った。

それから電話をすることも、くることもない。

その日の声が２人とも疲れきったような声だったから。

私が仕事終わりに練習するようになった頃、隆二も忙しくなったのか朝方まで帰れなくて。

LINEを送っても返ってくるのは何時間も後になってから。

それは私も同じで、時間がすれ違う毎日。

寂しいって思うけど、今は仕事に集中しなきゃと自分を奮い立たせてた。

「もう２週間近く会ってないんだってね。」

「隆二から聞いた？」

「うん。会いたがってたよ、Aに。」

「………そっか……うん。」

「練習させてもらえば良かったのに。そしたらこの時間だけでも一緒に居れたじゃん。」

「仕事忙しそうだから……疲れてるかなぁって思って。」

「私も仕事してるんだけど、一応。」

「そうだけど！そうなんだけど！」

「そんなに気遣うことないって。隆二くんもだけど、少しくらいわがまま言ったっていいじゃん。彼氏彼女なんだから。」

「いい歳して私、めんどくさい女になった？」

「大丈夫、隆二くんも充分めんどくさい男だから。」

「隆二が？それはなくない？」

「昨日のは超めんどくさかったよ。酔ってたせいもあるんだろうけど。」

「どんな感じだったの？」

「会いてぇ～って言ってるから会いに行けばって言ったら、今は練習してるだろうから行かないって。ちょっと拗ねてんの。」

拗ねてる隆二とか、可愛い。

「で、ずーっと携帯気にしてるから電話すればいいのにって言ったら、それも邪魔になるからヤダって。超めんどくせーの！」

で、ボンちゃんは思い出して爆笑。

隆二にそんな我慢をさせてたなんて、私は切ないよ。