キミと月のブランコ。３ (ページ42)

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「ごめんねボンちゃん、こんな時間に付き合わせちゃって。」

「いいよ別に。タダでエステとか超ラッキーだし。」

営業が終わって静かなサロン。

大会前日の今日、最後の練習にボンちゃんは付き合ってくれる。

「ほんとありがとね。優勝したらさ、ハワイ一緒に行こうよ。」

「マジぃ！？いいの？」

「あれ確か宿泊のペアチケットなんだよね、だからボンちゃんに贈呈するよ。」

「あーもう絶対優勝してよ？」

「でも休み取れる？」

「ハワイだと１週間くらいは必要？」

「だねぇ。」

「たぶん無理だなぁ。」

「やっぱり…………私も１週間取ろうとしたら何ヶ月先になるか分からん。」

「えー、無理じゃーん。ハワイなんてー。」

「国内旅行に変えてもらおうかなぁ。それなら３日くらいでいいじゃん？」

「出来るの？そんなこと。」

「早めに言えばイケる。」

「てかさ、それ隆二くんと行ってくれば？」

「なんで隆二……隆二さん？」

「わざわざ言い直さなくていいし、普段通り呼びなよ。りゅ、う、じ～って。」

「そんな呼び方してないし。」

いつの間にか呼び捨てに慣れてた私の口からは、なんの抵抗もなく＂隆二＂って出てた。

「隆二くんは一緒に旅行行きたいって言うと思うよ？」

「そうかなぁ……でも練習付き合ってくれたのはボンちゃんだし。隆二だって休み取れないだろうし、いいよ。」

「ほんと可哀想なんだけど、隆二くん。」

「なんで？旅行行かないだけでそんなに可哀想なの？」

「それだけじゃないって。隆二くん、今頃飲んだくれてんじゃない？」

「飲んだくれてる？」

「昨日うちに来たんだよ、隆二くん。」

「そうなんだ。」

「連絡くらいしなよ。」

「…………してるよ。」

「最近いつしたの？」

「………４、５日前だったかなぁ。たぶん。」

最後に電話したのは。