キミと月のブランコ。３ (ページ38)

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「あー、また寝ちゃったじゃーん。」

サロンのベッドに横になる隆二さんは眩しそうにまばたきをしながら悔しそうにする。

始めはパッチリ開いていた目を閉じさせたらすぐに眠った。

いつものことだけど、寝付きがいい。

「寝言言ってたよ、隆二。」

「マジで！？何言ってた？」

「もう食べれないって。」

夢の中でも食欲旺盛な彼。

「なにそれー。めっちゃ恥ずいんだけどー。」

顔をクシャクシャにして笑う。

可愛くて食べちゃいたい。

「この後仕事なんだよね？」

「うん、すぐ戻らないと。」

「じゃあコーヒーだね。」

「コーヒーかぁ。」

「ハーブティーにする？」

「違う………そうじゃなくて。」

"よいしょ。＂と呟きながらベッドの上に起き上がった隆二さんは床に足を投げて私の手を握った。

「こっち来て。」

手を引かれてぶら下がる足の間に立たされた。

「どうしたの？」

「コーヒーよりAがいい。」

そう言って、隆二さんはお腹に抱きついてきた。

「夜になったら会えるのに。」

「ねっ。」

「しょうがないなぁ。ちょっとだけね。」

「うん………いっぱいね。」

私を見上げてにこっと笑った。

いつも甘えさせてくれる隆二さんを、私も甘えさせてあげたい。

だからふわふわな髪に手を添えてぎゅっと抱きしめた。

いっぱい、ね。

「今日は早く終わる？」

「うん、練習しないで帰るから。」

「俺の方が遅くなるかも。どうする？家で待ってる？」

「んー………じゃあ隆二の家で待ってていい？」

「いいよ。鍵渡しとくから、待ってて。」

「早く帰ってきてね？」

「うん、急いで帰るよ。」

「そろそろ時間？」

「だねぇ、行かなきゃ。」

「ねぇ隆二…………キスしたい、な。」

夜まで待てない。

「もう………そんな事言われたら仕事戻れない。」

＂ちょっとだけだからね。＂

なんて言いながら、隆二さんの唇はなかなか離れなくて。

サロンを出るまでに何度も迎えの電話が鳴っていた。

怒られちゃったかな。