キミと月のブランコ。３ (ページ31)

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朝起きてすぐに感じた体の異変。

「…………んー、頭痛い。」

「ん？どうした？」

私の声で目を覚ました隆二さんは、ずり落ちた毛布を肩まで掛けて抱きついてきた。

毛布の中はポカポカと温かいはずなのに、ブルッと体が震えた。

「風邪引いたかも。」

「風邪！？大丈夫？」

「うん。」

「熱は？測ってみる？」

私のおでこに手を当てて＂ん～、ちょっと熱いかも。＂って顔を歪ませた隆二さん。

弱ってる時って無性に甘えたくなっちゃう。

このまま布団の中で隆二さんと一緒に居たいなぁって思う。

「隆二に移ってたらどうしよう。」

昨日キスも、えっちもしちゃったし。

「俺？全然平気。心配ないよ。」

「ほんと？嘘ついてない？」

「うん、マジで。今日も仕事なんだよね？」

「うん、そろそろ行かなきゃ。」

「そんなんで仕事出来んの！？」

「予約入ってるし……………休めない。」

「わかるけどさぁ………ほんと無理はしないで。」

「うん。だいじょ………ックション」

「ねぇーマジでー。休めよー。」

社会人たるもの、そう簡単には休めない。

予定を合わせて指名を入れてくれるお客様のために、体にムチを打ってでも最高の癒しを。

なんて言うのはただの自己満足に過ぎないのかも……。

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「ねぇ、ぼーっとしてるけど大丈夫なの？」

「肌すごく綺麗ですよね………臣くん。」

「隆二からウンザリするくらいパック貰ったかんね、俺。」

「パックしてる臣くん………面白そう。」

「可愛いじゃなくて？」

「あっ、顎にオイル垂らすんで口閉じててもらえますか？」

「今日はすこぶる噛み合わねぇな。」

＂念願のゴッドハンドデビューだわ。＂と嬉しそうにサロンへ入って来た臣くん。

私も念願だった臣くんのフェイスタッチ。

なのに怠くなっていく体は座っているのが精一杯。

間近にある臣くんの顔にワクワクもドキドキも感じないなんて……もうビックリ。

風邪だからじゃなくて、心境の変化もあるのかな。