キミと月のブランコ。３ (ページ29)

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焦らされたにも関わらず、気分良さそうに未だ鼻歌を歌う隆二さん。

「その歌。」

「なんでしょう？」

「Versace On The Floor。」

「覚えてるじゃん、曲名。好きでしょ、この歌。」

「うん、その歌聞くと隆二のこと思い出すようになっちゃった。」

「俺も。Aしか出てこない。」

「歌って欲しいな、隆二に。」

「俺？」

「うん、隆二の声好きだから。聞いてみたい。」

本人よりもセクシーに歌っちゃうんだろうな。

「いつか聞かせてあげる。」

「いつかっていつ？」

「いつだろう………わかんないけど。絶対聞かせるよ。Aのこと、思い浮かべながら歌うから。」

「楽しみにしてる。」

「この歌の歌詞、わかってる？」

「うん………わかってる。」

「じゃあ、ここは？」

そう言って囁くように英語で歌う。

本域じゃないのに、ハスキーな声はセクシーすぎる。

「ヴェルサーチを床の上に……、」

「そのあとは？」

「……………なんだっけ。」

言えないよ。

あんな歌詞。

黙ったままの私を隆二さんは悪戯な顔で覗いた。

クルッと回された体が胸に引き寄せられて、コツンとおでこが合わさった。

色を変えた瞳と視線が交わって、ドキンと胸が鳴る。

「脱いでよ………俺のために。」

それは歌詞なのに、隆二さんの心の声なんじゃないかと錯覚してしまう。

ゆっくり近づく唇に、そっと目を閉じた。

砕けてしまいそうな腰をぐっと抱く隆二さんのキスは、熱くて甘い。

だからもう流れに、隆二さんに身を委ねるしかなくなった。

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『sweet time～キミと月のブランコ。～』

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