キミと月のブランコ。 (ページ43)

今日:9 hit、昨日:15 hit、合計:1,438,897 hit

43 ページ43

.

「寂しいねぇ、A。」

ボンちゃんの肩に頭を乗せると、優しく撫でてくれる。

ボンちゃんも心がイケメン。メンズじゃないけど。

「私がおばぁちゃんになっても一人だったら、面倒見てくれる？」

「それは勘弁してよ。その頃には私だっておばぁちゃんだからね。」

「そうだけど、手を取り合ってさ、仲良く生きていこうよ。」

「まぁ仲良くはしてるだろうけど、介護はしないよ。」

「あっ、岩ちゃんなら年下だし私の介護もしてくれるかも！」

「もー、そんな先の心配ばっかりしてないで、今の心配しなよ。おばぁちゃんになるまでそばに居てくれる人、早く見つけて。」

「………帰ろう。」

「あー、逃げる気？私はまだ話終わってないよ！」

「だってー、どうせ隆二さんの話する気でしょ？」

「いいじゃーん！絶好のチャンスなんだからー、私がアドバイスしてあげるよ！恋する気持ちをさ、思い出させてあげる！」

「いいよ、そんなの。恋くらい自分で出来るっつーの。その先に進みたくないだけだし。」

「だからその進んだ先の良さをさぁ！」

「こんな時間までごめんね。もう終電なくなるし、帰るよ。」

「泊まってけばいいのに。」

「また今度泊まりに来る！じゃあね！」

飲み散らかした缶やお菓子のゴミを片して向かった玄関。

ボンちゃんも見送りに着いてきてくれた。

「おやすみ。」

「おやすみ。気を付けてね。」

＂はーい。＂と手を振りながらドアノブに手をかけて押したら、思いのほか簡単に空いた扉。

勢い余った体が前のめりになって、転ぶと思っていた。

だけど私の体はドスッと何かに当たって、倒れることはなかった。

「うわ、大丈夫？」って声が、横から聞こえて。

「ボーン………Aちゃん？」って驚いた声が、真上から聞こえた。

「A、大丈夫？」とボンちゃんの声も聞こえて、顔を上げると至近距離に彼の顔。

転びかけた私を支えてくれたのは、隆二さん。

両腕をしっかり握ってくれてて、＂ビックリしたぁ。＂と私を見下ろしていた。