キミと月のブランコ。 (ページ19)

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19～side 隆二～ページ19

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「隆二さんは、お仕事だったんですか？」

「あっ、うん、お仕事でした。」

空ぶった手のやり場に困って、グーとパーを繰り返していたら今度はAちゃんから話を振ってくれた。

まぁ挙動不審な返し。

「ここら辺で仕事だったんですか？まさか近くに居るなんて思わなかったですよ。」

「あー、飯行ってたんだよ。臣と岩ちゃんと。」

「臣くん！？」

なにその反応……。

名前聞いただけで、そんな嬉しそうな声出るもんなんだ。

「Aちゃんってさ、臣のファンなの？」

「ファンって言うんですかねぇ……イケメンだとは思いますけど。好きってわけじゃないし。」

「三代目で一番イケメン！？」

俺、必死だな。

「……………。」

急に無言になったAちゃんは首を横に傾げてた。

ニヤニヤしながら。

そこは気遣わねぇのかよ！！

「だから知ってたんだ、臣の名前は。」

「………ですねぇ。」

………凹むわ。

ついさっきまで浮かれてたこの気持ちは、ズーンと沈む。

なにも言葉が出せなくなった俺を、今度はAちゃんがのぞき込む。

「ショック受けてます？」

なんて言いながら意地悪っぽく笑う。

「全然。」

悔しくて、強がる俺。

「私、来月隆二さんたちのライブ見に行くんです。」

「うん、知ってる。」

「楽しみにしてますね、隆二さんの歌声。」

「臣のじゃなくて？」

「うん、隆二さんの。」

にこっと笑ったAちゃん＂飲み物買いませんか？＂と、コンビニに入っていった。

＂寒かった～。＂とホットドリンクを見ながらマフラーに口元まで顔を埋めた仕草にグッときた。

俺のことをもっと知って欲しい。

俺もAちゃんのことをもっと知りたい。

１０分じゃ、全然足りない。