17〜side 隆二〜 ページ17
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「近いの？家。」
「近い……のかな。歩いて１０分くらいです。」
俺の問いかけに俯き加減で答えるAちゃん。
寒いのかな。
左手で握る右手が微妙に震えて見える。
「タク……や、なんでもない。」
「なんですか？」
「ううん、なんでもない。」
タクシーに乗ろうと言いかけた。
でも、少し歩きたい気分。
Aちゃんと。
１０分なんかきっとあっという間なんだろうから、タクシーなんかに乗ったらもっと時間は少ない。
それなら、歩きながら。
少しでも、一言でもいいから話したい。
なぜか、そう思った。
「寒いから急いで帰ろう。」
「寒いですよね……私やっぱり１人で、」
「俺に気遣わなくていいから。」
予想通り、Aちゃんは気を遣う。
いらないんだけどな、そういうの。
「素直に送ってもらいなさい。」
「………はい。」
足元を見たままそう答えて、��命令されちゃいましたね。��って笑いながら顔を上げた。
三日月みたいな形をした瞳が印象的で、その笑顔を見ると俺も自然と頬が緩む。
こういう子の事を、癒し系って言うんだな。古いけど。
「こっちです。」
Aちゃんが指差した方向へ歩き出す。
数歩進んで気付いた薄い気配。
俺の後ろを静かに歩いてた。
しかも、また俯いて。
怖いよ、Aちゃん。
ほんと、面白い子。
「あのさ、隣歩かない？」
一旦立ち止まってそう言えば、��えっ！？��と俺を見ながら驚いた。
「これじゃあ送っていく意味ないよ。」
「でも離れてはないし……マズくないですか？この状況。」
「全然マズくないです。俺一応、顔隠れてるし。」
「そうですけど。」
「後ろに居られたんじゃ、何かあってもすぐ気付いてあげれないでしょ？」
「その時はちゃんと声出しますよ私。」
この分からずや。
「…………隣に居てくれないと寂しいんだよ。」
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作者名：taka
| 作成日時：2017年1月19日 20時
