キミと月のブランコ。 (ページ15)

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＂わかった。待ってます。＂

その言葉を聞いて終わった通話。

いきなりの電話で心臓はバクバクと暴れてる。

行き先を知らせる掲示板を眺めながら、早く着いてと願ってた。

開いた扉から急いで降りて、携帯を手に持ったまま駆け出した。

どうしてだろう。

これほどまでに、急いでいるのは。

早く、電話をかけたくて仕方なかった。

改札を出てすぐに、かかってきた番号をタップした。

鳴り出した機械音を聞いただけで、緊張で手が震えた。

数コールして繋がった私と隆二さん。

「もしもし？Aちゃん？」

「はい。すいません、電車降りました。」

「もう大丈夫？」

「大丈夫です。」

「ごめんね、さっきは。電車の中で気まずかったでしょ？」

「はい……ちょっと。」

「だよね。俺タイミング悪すぎ。」

「大丈夫ですよ、電話より気まずい事あったんで。気にしないで下さい。」

「えっ、何があったの？もしかして、チカン？」

「違います！全然、そんなんじゃ。」

あれは私の方が……チカンだったから。

「そうなの？なんだろう、超気になる。」

「いや、もう本当……なんでもないんです。」

隆二さんが電話をくれた主旨が分からないまま、私は駅前で足を止めて次の言葉を待った。

「そっかぁ。あ、あのさぁ…」

隆二さんが話してる最中に目の前を大きなサイレンを鳴らしながら通った救急車。

おかしな事に、電話の向こうからも同じ音が聞こえてきた。

「あれ？」

私がそう言うと、隆二さんも同じように＂あれ？＂と呟いた。