キミと月のブランコ。 (ページ12)

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12～side 剛典～ページ12

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「Aちゃんと知り合いだったんだねぇ。俺ビックリしたわぁ。」

「んー、知り合いってわけでもないけど。新幹線で隣だっただけだし。」

「にしても、仲良くなるの早くない？」

「そうか？」

「結構喋ったの？新幹線で。」

「最初だけね。好きな音楽が一緒だったから、その話とか。」

やっと打ち終わった隆二さんは＂俺の番号教えてねぇじゃん。＂と呟いて目を閉じた。

瞼の下はきっと白目を向いてるね。

落胆してるんでしょ。

「電話すれば？」

「今！？」

「今は仕事中だから出ないと思うけど。予定分かったら電話しなよ、予約の。」

「あっ、LINEに入ったかな？」

「入ってるよ、きっと。友達かもとかに、あるんじゃない？」

「うん、入ってた。」

＂俺、焦りすぎ。＂と自分に突っ込みを入れる隆二さん。

ほんと、女一人にこんな浮き沈みする姿初めて見たよ。

「話戻るけどさぁ、俺あれビックリしたんだよねぇ。」

「あれって？」

「コーヒーの好み。隆二さんがブラックで飲むこと知ってたじゃん。」

「あー、新幹線で飲んだからでしょ。」

「あの会話、なんか良かったなぁ。」

「なんで？」

「なんか、秘密知ってます……みたいな？」

「秘密ではないけどね。でも覚えててくれたのは、嬉しかった。」

「いいねぇ、新鮮な感じ。」

「うん、いいねぇ。あれかな、同じブラック派だから覚えやすかったとか。」

「ブラック派？」

「って言っても、俺なにも聞かずに買っちゃったんだけどさ。後から思ったんだよねぇ、ブラック苦手だったら可哀想なことしたなぁって。」

「…………してるよ、隆二さん。」

「えっ、どういう意味？」

「Aちゃん………コーヒー飲めないよ。」

「マジで！？」

「さっき、ご馳走様でしたって言ってたのってコーヒーだったの？俺よく聞こえなかったけど。」

「うん。コーヒー。」