恋になるとき。６ (ページ33)

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「なんで俺のせいなの？転んだのは、自分のせいだろ。」

「隆二が、冷たくするから………」

「だから、転んだ理由に俺は関係ないじゃん。なにそんなにキレてんの？」

「隆二だってずっとキレてるじゃん。私とは話してくれないし、つまんない。」

「それは…………イラ」

「岩田と………岩田といた方が楽しかった。今の隆二とは一緒に居たくない。」

「なんだよそれ。」

「そのまんまだよ！隆二といてもつまんないの！帰るから退いてよ！」

胸に抱いていたバッグで隆二を叩きつけた。隆二がくれた、大切なバッグで。

「帰さない。絶対、帰さない。」

バッグを掴んで腕の中に抱えた隆二。

……………私は盛大なため息をついた。

「今の隆二は一緒に居て疲れるよ。なに考えてるか全然分からない。」

あんな風に黙ってないで、言いたいことがあれば言えばいいのに。

隆二だって、そう言ってたじゃん。

「俺が考えてるのはいつだってAのことだよ。なんで分かんないんだよ。」

「分かるわけないじゃん！何も言ってくれないのにどう分かれって言うの？」

「…………分かった。全部言うからちゃんと聞けよ？」

ここで！？

「ま、待って！その前に立っていい？」

「じゃあ帰ろうよ。」

「ヒール折れた。隆二が追いかけてくるから。」

「また俺のせい？そんくらい買ってあげるよ。欲しいの探しといて。」

「隆二、なにしてるの？」

靴を拾い上げた隆二は私に背を向けてしゃがんだ。

「なにって、おんぶ。歩けないでしょ裸足じゃ。」

「うん。」

「ほら早く！」

促されて抱きついた隆二の背中。

雨に体温が奪われてひんやりしてた。

「懐かしくない？おんぶ。」

「戻りたいな、あの頃に。」

「そう？」

「今の気持ちで戻りたい。」

「なんで？」

「もっと早く隆二と付き合ってればもっと一緒に居れたもん。アメリカ行くまでに。」

「A、寂しい？」

切なげな声で聞くから、胸が苦しくなった。

「俺は、すげぇ寂しいよ。」

私の頭にコツンと頭を寄せて、そう言った。