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「もうアヒル隊長おしまい!」
「わかったよ。こっち、来て。」
いつまでも笑う隆二の手からアヒル隊長を奪って湯船に浮かせた。
「たまには、隆二がおいでよ!」
「いいの?」
「いいよ、おいで。」
両手を広げると隆二は嬉しそうな笑顔になって、
「んー、Aー!」と、甘えた声で飛び込んできた。
私の胸を枕にしてドカッと浴槽に足を乗せた。
なんとも偉そう………
まぁ、この家の主だけども。
お腹に回した手が隆二の指と絡み合う。
ずっと、離さないでほしい。
「あのさぁ、Aのマンションって暗証番号なに?」
「エントランスの?」
「そう。」
「知らなかったっけ?」
「知らないよ俺。入る時いつも一緒だから聞いてなかったんだよねぇ。」
「あぁ、だからさっきボーッと立ってたの?」
「ボーッとはしてないけどね。どうやって部屋まで行こうか考えてた。」
「そうなんだ。どんな案が浮かんだの?」
「壁よじ登るとか。」
「よかったね、通報される前に私に会えて!」
「ほんとにね!」
警察沙汰とかシャレにならない。
「でもさぁ、前に入って来たよね?私が早退した日だっけ?」
「早退?あー、あん時はちょうど出てくる人が居たからね。ラッキーって。」
「さすが今市くん、もってるねー!」
「でしょ!?」
「うん、ほんとに!やっぱイケメンは運にも恵まれちゃうんだねぇ。いやぁー凄い!もー、ゴイスー!」
「…………ねぇ、」
「なーに?」
「なに急に煽ててんの、俺のこと。」
「煽てたわけじゃないよ!純粋に凄いなーって思っただけだよ!」
「もういいから。あ、ん、しょー、ば、ん、ごー!」
「知りたいの?」
「俺に教えるの、そんなに嫌!?」
そうじゃないんだけど……。
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作者名:taka | 作成日時:2016年8月23日 18時