恋愛もよう。２ (ページ9)

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＂今日は忙しいから。＂

隆二の言葉通り、バレンタインだけあってカップルが多い夜。

なかなか隆二と話すこともなく、大樹ちゃんすら私のところに来る頻度は少ない。

臣でも呼ぼうかと思ったけど彼にも相手は居るからとどまった。

どっちの女性と居るかは知らないけど。

ひとり携帯をいじっていたら、朝早かったせいもあって猛烈な眠気に襲われた。

…………ちょっとだけ。

重くなった瞼を閉じた。

「A。」

戻りかけた意識のなか聞こえた隆二の心地よい声。

薄ら開けた目に映った隆二の姿。

隣に座って右手で頬杖をつきながら、私の髪を撫でていた。

視線を合わせると、伏し目がちに微笑む。

「お店は？暇になったの？」

「もう終わった。」

「えっ、そんなに寝てたんだ私。」

「こっちは働いてるっつーのにな、気持ち良さそうな顔で寝やがって。」

「見てたの？」

「……………チョコ食おう。」

照れを誤魔化すように視線を外し私があげたチョコを口に含んだ。

相変わらず頬杖をついたまま少し上がる顎のラインが妙に色気を纏っていてドキッとする。

だけど左手に持つのは、アンパンマンのぺろぺろチョコレート。

それを砕かずにぺろっとする。

隆二とアンパンマン……

思わず笑っちゃうけど、すごく可愛い。

「食べる？」

物欲しそうに見えたのか、隆二はアンパンマンを私に差し出した。

「うん、ちょうだい。」

「割ったらキレる。」

怖っ。

遠慮がちに2、3回ぺろり。

これじゃ食べたとは言えないよ。

「ありがとう。」

「ん。」

もういいや、と口を離すと私がぺろっとしたとこを口に含んだ。

「美味しい？」

「うまい。」

そう言いながら頬を上げた。