恋愛もよう。２ (ページ18)

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「はい、桃切れた！」

「ん、じゃあタルトに乗せて、そのシロップ塗って。」

「はーい。」

夜更かしをしたあとは、お昼に起きて。

出かけるわけでもなく、家で一緒に料理をして。

穏やかな時間をふたりだけで過ごす。

「うわっ、なにやってんだよ。」

「あ、ごめん！」

「ったく、雑なんだよお前は。」

ボールを抱えて混ぜてた生クリーム。

ホイッパーを回す腕が疲れて、ほんのちょっとヤケクソになっちゃって…

勢いよく隆二の頬っぺに飛び散った。

ものすごく嫌そうな顔で私を睨んでる…

ほんと怖い。

でもそんな隆二にもさすがにもう慣れて。

「ごめんね？」

肩に手置いて、背伸びをして。

頬っぺについたクリームを、ぺろりと舐めとる。

「許して？」

そのまま見上げてみれば

「バカじゃん。」

荒々しいことを言ったけど

「超美味しい、隆二の頬っぺ。」

「あっそ、へんたい。」

隆二は照れ笑いを浮かべてた。

素直じゃないんだから、まったく。

隆二が喜びそうなことなんて、なんでもお見通しなんだから。

ケーキが焼き上がったのは夕方。

外はすっかり真っ暗で。

カーテンを閉めたバーには、今年も大樹ちゃんと飾り付けをしたクリスマスツリーが光を放つ。

隆二秘伝のタレで漬け込んだ大きなチキン、生地をクルクル回して作ったピザと。

ほぼ、というかケーキ以外は全部が隆二の手作り。

たくさんのご馳走を食べたらお腹はポッコリ。

ふたりでゆっくり過ごせたこと、美味しい食事にと、大満足。

私が洗い物をしてる間、隆二はカウンターの椅子に座ってタバコをふかす。

なーんか視線を感じるなぁって思ってたら、手が空いた私を見て

「部屋にメガネあるから持ってきて。」

思いもよらないことを口にした。

正直、めんどくさい。

なんで私に言うの！？

ていうか、今、必要！？

心の中でしか反抗できない私は＂はーい＂と言うことをすぐ聞いちゃう。

黒縁メガネを手に持ってバー戻ると、隆二はツリーを一人見ていた。

その後ろ姿を見て急に抱きつきたくなった。

「持ってきたよ、隆二。」

そう言いながら、ぎゅっと、お腹に手をまわした。