恋愛もよう。２ (ページ1)

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Valentine night with 佐野玲於。ページ1

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「いらっしゃいませ！」

来客を知らせるチャイムが鳴って、挨拶をしながら目を向けたお店の入口。

「おはよ。」

入ってきたのはお客様ではなくて、玲於くんだった。

「あっ、おはよう。」

私が挨拶を返すとちらっとこっちに目線を向けて、すぐにバックルームに入っていった。

職場での玲於くんは、素っ気ない。

＂職場でイチャつく奴とかマジ無理。＂

先輩カップルが職場でコソコソとキスしてる現場を２人で目撃しちゃったことがあって。

玲於くんはその現場を見て、そう言っていた。

私も人前でキスなんてしたくないけど。

もう少し目を合わせてくれたり、話をしてくれてもいいのになぁ……なんて思う。

その分２人きりになった時は、格別に甘いけど。

チョコレートみたいにビターな顔とスイートな顔を使い分ける玲於くん。

そんなギャップに私は弱い。

だけどやっぱりスイートな玲於くんが好き。

ミルクチョコレートみたいな、甘～いの。

「玲於くっ………ん。」

タイミングを見計らって駆け込んだバックルーム。

私の目に飛び込んできたのは、女の子たちに囲まれる玲於くんだった。

バイトの高校生たちが、紙袋を持って玲於くんにキラキラの笑顔を見せていた。

「佐野さん！これ、受け取ってください！」

「義理ですからねー！」

「私は本命ですけどー！」

甲高い声でハシャグ女の子たちが玲於くんに渡しているのは、バレンタインチョコレート。

今日は愛を贈り、愛を受け取るバレンタインデー。

「あー、どうもね。」

玲於くんは嬉しそうな顔もせず、無表情で受け取った。

貰い慣れてるのかな。

あんなにカッコイイ玲於くんだから、毎年何個も貰ってるんでしょ。

チョコレートなんて、嬉しくないのかも。