恋になるとき。９ (ページ5)

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＊～side 隆二～ページ5

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「ただいまー！」

家に入るといつも通り、いい匂いが鼻と腹を刺激する。

そしてこれもいつも通り、

「おかえりー！」

Aがパタパタと可愛い足音を立てながら出迎えてくれる。

はぁぁ……幸せ。

鍵を棚に置いて、Aを抱きしめる。

もう一つ増えた、俺の日課。

「私、油くさい？」

遠慮がちに俺に抱きつくA。

ダッフィー柄のエプロンを着けて、ちょっと背伸びをする姿は可愛くてしょうがない。

「ううん。いい匂いだよ。」

料理の香りを纏うAは美味しそうな匂い。

「なに作ったの？」

やっと聞けた今日のメニュー。

「カツ丼！がっつりした物食べたくなっちゃって！」

照れたように笑うAは俺の手を引いてリビングに向かう。

テーブルに置かれた２つの丼には、でっかいカツにとろとろの玉子。

「めっちゃ旨そう！」

Aが作る飾らない家庭的な料理が俺は好き。

「今日ね、豚肉が半額だったの！」

「そうなの？あっ、これめっちゃ旨い！」

「良かった！売れっ子芸能人に半額の豚肉なんて、なんかごめんね？」

「なんで？俺そんな高いもんばっか食べないよ。」

「うーん、そうだけど。なんか急に恥ずかしくなっちゃった。」

「なにに？」

「半額に興奮する自分に。」

いじけたようにカツを箸でつつく。

「値段じゃないでしょ、料理は。味が大事なんだから。」

「私の料理、美味しい？」

「超美味しいよ。外で食べるのより、Aが作ってくれるご飯が俺は好き。」

不安そうに俺を見るAに軽くキスをすると、嬉しそうに笑った。

「明日はなに食べたい？」

夕飯を食べながら、明日の夕飯を聞くから可笑しくて笑っちゃう。

「んー、その前に……Aのこと食べたい。」

横から抱きしめると、

「えー、そんな事聞いてない！」

なんて言いながら、箸を置いて腰に腕を回したA。

キスに夢中になった、甘い食卓。