恋になるとき。９ (ページ38)

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「ごめんなさい、私……本当に、ごめんなさい。」

私の知らないところでそんなやり取りをしていたなんて、こんな風に疑って恥ずかしい。

「私もね、逆の立場なら凄く嫉妬しちゃう。だから、謝らないで？それより、どうしてここに連れて来られたのか知りたくない？」

頭を下げる私に優しく声をかけてくれた鴨志田さんは、私の手を引いて試着室へ歩き出した。

「なんかもう、頭の中グチャグチャなんですけど。」

わけが分からないまま試着室の前に立たされ、鴨志田さんがゆっくりカーテンを開いた。

隣に立った隆二は＂気に入ってくれるかなぁ。＂と腕を組んだ。

「今市くんが、必死になって探したのよ。Aさんに似合いそうな、ウェディングドレス。」

鴨志田さんが開ききったカーテンの奥には、純白のウェディングドレスが飾られていた。

背中に大きなリボンが付いて、ロングトレーンでプリンセスラインの可愛いドレス。

一瞬で、心を奪われた。

「A、どう？」

心配そうに隆二が聞くから鴨志田さんが見てる事なんか忘れて、思いきり抱きついた。

ギューッと抱きしめた。

「可愛すぎるー！隆二、可愛いー！これにする！隆二が選んでくれたドレスにする！ありがとう、隆二。」

もう、大興奮。

「良かったぁ、喜んでくれて。絶対似合うよ、このドレス。めっちゃ可愛い花嫁さんだね、A。」

「隆二、大好き。」

溢れた想いを伝えるすべが見つからなくて、ただただ隆二を抱きしめた。

「俺も………」

一度言葉を止めた隆二は、耳元に顔を近付けてきて小さな声で

「大好き。」と、囁いた。

＂終わったら呼んでね？＂そう言って試着室を出た鴨志田さん。

隆二は２人きりになった途端、唇を重ねた。

「本当は明後日見せようと思って、今日は確認だけしに来たんだよ。無理言って取り寄せてもらったから、お礼にね。」

「ほんと、ごめんね、あんなに疑って。ここまでしてくれてたのに。」

「もう怒ってないから、大丈夫だよ。喜んでる姿見たら、満足しちゃった俺。」

とびきりの笑顔を見せてくれた隆二に、私もとびきりの笑顔を。

心から、愛を込めて。