恋になるとき。９ (ページ4)

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＊～side 隆二～ページ4

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「隆二もしかして、Aちゃんちに挨拶言った時も噛んだ？」

何かを期待するような聞き方を臣はする。

もちろん、岩ちゃんもそんな顔。

「噛んだ、噛んだ。めっちゃ噛んだ。わけ分かんないくらい噛んだよ。」

「やっぱりぃ！さすが隆二だよねぇ。」

「緊張だった？」

「もうMCなんて比べ物になんないくらい緊張した！家行くまでに何回嘔吐いたことか……。やばかったぁ。」

思い出しただけでオエーってしそう。

「どんな親だった？」

「隆二さんの事、知ってた？」

「お義母さんはね、知っててくれたよ。俺のこと見た瞬間、大騒ぎ！」

「凄そうだね、Aちゃんのお義母さん。」

「よく笑うしよく喋る人で、Aが２人いるみたいだったよ。」

性格は完全にお義母さん譲りなA。

「お義父さんも同じ感じ？Aちゃんが３人はさすがに大変そうだけど。」

「岩ちゃん、それだったら俺もあんなに噛まなかったと思うんだよね……。」

俺が噛み倒した一番の要因は、お義父さん。

「………ガッチガチのオールバックだし、アウトレイジに出てきそうな強面だよ？」

「Aちゃんからは全然想像つかないんだけど。」

「似てんじゃん、隆二と。」

「どこが！？」

「元ヤンなとこ。」

「だから隆二さんのこと好きになったのかなぁー。よく言うじゃん、お父さんに似た人と結婚するって。」

「案外うまくいくんじゃん、お義父さんと。」

「なんで？」

「女のタイプも似てるみたいじゃん。お義母さんとAちゃんそっくりなんだろ？」

「うん。」

「気が合いそうだね、隆二さん。」

俺の事をどう思ったかは分からないけど、Aとの結婚はちゃんと認めてもらえた。

一緒に酒を飲んで俺の仕事についていろいろ聞いてくれて、

＂隆二＂

名前で呼んでくれたお義父さん。

Aと話す時に緩んだ顔からは優しさが滲み出ていて、お義母さんと一緒になって笑う姿は幸せそうだった。

温かい家族、そう思った。

俺もAと、そんな家庭を作りたい。