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シーンと静まり返る個室。









テーブルを挟んで向かいに胡座をかいて座る隆二にじっと見つめられて、俯きながら正座をする私。









頭の中ではあの歌がリピートされて、この際歌ってしまおうかとも思ったけど辞めた。









マジギレされそうだし。









宮ちゃんの言う通り、呪いの歌だ。









「なんでそっちに座ったの?」









「誰かと話をする時はちゃんと顔を見なさいって……お母さんが。」









「全然見てないけどね。」









「うん。」









「こっち、来て。」









「んー。」









気が進まない。









「隣で話したいんだけど、俺は。」









「でも隣じゃ顔見れないもん。」









「前に居ても見ないならそばに来てよ。早く、こっち。」









いつまでも動かない私を急かすように座布団をトントン叩いて隆二は催促する。









「んー。」









渋々腰を上げて隆二の隣に移動しようとした時、脇に置いていた仕事用のトートバッグに足が当たってバサッと倒れた。









中から飛び出したドレスのパンフレット。









イライラをぶつけるようにこっそり蹴飛ばした。









ふんっ!!









「失礼しまーす。」









隣に体育座りをすると、腰が抱かれて隆二の体に寄りかかる態勢になった。









「なにがそんなに嫌なの?」









上から隆二の優しい声がして、急に甘えたくなった。









隆二は私のだもん。と、独占欲。









肩に頭を預けると、髪に鼻をスリスリする隆二。









機嫌が悪い時、隆二の甘さと心遣いは私を落ち着かせてくれる。









「…………鴨志田さんって、うちの会社で働いてたの?さっき、まゆが言ってたんだけど。」









「あー、うん、働いてたよ。3年くらい前まで俺らの衣装さんだった。」









「そうなんだ。今の所で働いてるのは知ってたの?」









「いや、知らなかったよ。ウエディング関係で働き始めたっていうのは他のスタッフから聞いてたけど。」









「じゃあ、今日ビックリした?」









「もーめちゃくちゃビックリだった。Aから担当の名前聞いて、あれ?って思ったけど。」









「珍しい名前だからもしかしたらって思ってた?」









「ちょっとね。でも本当にあきだったのはすげぇ偶然だったね。」

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作者名:taka | 作成日時:2016年12月6日 22時

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