恋になるとき。2 (ページ8)

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暖かい春が近付くこの時期は、会社内でのBGMは……くしゃみと鼻をかむ音

隣の席のまゆは毎年ふわふわなティッシュを箱ごと抱えています。

「ックション……はぁ」

「連続5回新記録や！」

「なにその言い方ー。面白がってるでしょー絶対」

すんごい鼻声。

ちょっと可愛いじゃん。

仕事が終わり外に出た瞬間、くしゃみが止まらなくなったらしい。

「いやー、花粉症ってほんと大変そうだなぁと思ってー、かわいそうだなぁと思ってー」

「私まだ花粉症って認めたわけじゃないし！」

「わぁー、それよく聞くけど何なの？自分で認めるとかの問題じゃない………あ、電話だ！」

喋りながら、手に持っていた携帯が震えてそのまま通話ボタンを押した

携帯を耳に当て、まゆを見れば鼻にリップクリームを指で塗っていた

"鼻かみ過ぎて荒れる" から、保湿するらしい……なんて便利なリップクリーム。

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「もしもし、Aちゃん？今何してるー？」

「まゆと駅に向かってるとこです！」

「そうなんだ！お疲れー！あのさ、今、登坂っちと飲んでるんだけど二人で来ない？」

私はその誘いに迷わず、まゆの顔を見つめながら

「すぐ行きますね！お店、どこですか？」

そう答えた。