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「いいでしょ?この店。静かだし、マスターいい人だし、俺の秘密基地……Aちゃんしか知らない」
グラスを置いて横を振り向けば、ニコッと笑う隆二くんと数cmの距離で目が合った。
ドキリとして目を逸らしたのはいいけど………逸らした先には艶っぽい唇。
どこ見りゃいいんだ!!
バクバク鳴り出しそうな心臓を誤魔化すようにもう一度グラスを手に持った。
「いいですね、秘密基地があるって!私もマスター好きです。隆二くんとの会話聞いてるだけで楽しい」
「いつでも来たらいいよ!その時は俺も付き合うから」
「……うん。私にはまだ一人は無理かも。隆二くん、ラーメンは一人で無理なのにここは平気なの?」
「あー、ほら、飯食べる時って誰かと居た方が楽しいじゃん。ここに来る時は、仕事に煮詰まった時とかだから………この席でひっそりしてるよ」
「それなら私がここに居たらダメじゃないですか?ひっそり出来ないですよ?」
「それもそうか」
「ほらー!やっぱり!」
膨れっ面で睨み付けたら隆二くんは笑っていて、心の距離も顔の距離も縮まるばかり。
「………そんなこと無いよ。俺、Aちゃんと居るの楽しいから好きだよ?だから、ここにも連れてきたんだから」
長く細い人差し指が伸びてきて、私の頬を突っついた。
嬉しいこと言うねー、相変わらず。
あのー、マスター?このうるさい心臓を止めてくれるカクテルはありますか?
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作者名:taka | 作成日時:2016年3月17日 18時