story19 ページ46
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「Aー!先帰るね!」
「はぁーーーい、お疲れー」
「暗っ!もうー、Aも行く?臣くんとご飯!」
「行かなーい。私が行ったら邪魔って言われるもん、臣さんに」
「そんなこと言わないと思うけど?いいよ?行こうよ!」
給湯室で洗い物をしてるとこに、臣さんとのデートに胸を躍らすまゆが荷物を抱えて入ってきた。
私は今、究極に落ちている。
「大丈夫だから、早く行きなよ。臣さん待ってるんでしょ?」
親切で誘ってくれてるのに、厄介な私。
「超行きづらいんだけど……」
まゆが困惑した顔でのぞき込んでくるもんだから、ニカーっと笑ってみせた。
「…………怖っ!」
「いいから!ほんと、行きなよ!ほら!早く!」
スポンジを持って泡だらけの手じゃ体を押せなくて、お尻でまゆの体をズンズンと押す。
「はいはい!じゃあまた明日ね!」
まゆに強烈な尻ドンをかまされ体がぐらりと傾いた。
「コンコン!」
流しにしがみ付きながら声がした方を見ると、ドアをノックしながら笑う隆二くんが立っていた。
ノック音を口で言っちゃうとこ、可愛かったな。
「お取り込み中だった?」
「全然!いいとこに来てくれましたね、今市さん!この構ってちゃんの相手してあげて下さいよ!」
「構ってちゃん?」
「ちょっと!まゆ!」
「落ち込んでるみたいなんでー!お願いしまーす!」
「えっ、うん、わかった!」
「言っときますけど、超めんどくさいですよ?」
「そうなの!?」
給湯室の中に入ってきた隆二くんが、にやりとしながら私を見る
恥ずかしくなって目を逸らしてマグカップをゴシゴシと洗ったら、思いっきり泡が跳ねた。
「じゃあ、私はこれで!」
満面の笑みで帰って行くまゆの背中を見ていたら突然、目の前に隆二くんの顔が視界に映った。
だんだん近付いてくる顔に、力強い瞳に吸い込まれそうになる
ドキドキと胸が鳴る
スッと細くて綺麗な指が伸びてきて、思わず目を閉じた。
なんでドキドキなんかするんだろ……。
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作者名:taka | 作成日時:2016年3月17日 18時