* ページ43
.
張り合うようなやり取りのあと、2人は仕事の話に夢中になって私は相槌を打ちながら聞き役
ボーカル同士で話は尽きなくて、時折見せる真剣な表情の彼らにかっこ良さを感じる。
隆二くんがお手洗いに行って、敬浩さんと2人きりになった個室
「……A」
名前を呼ばれ、顔を向けたら
ちゅっと触れるだけのキスをくれた。
こういうシチュエーション、いけない事をしてるみたいでドキッとする。
「隆二、ほんとAのことよく知ってんね?俺より詳しいんじゃない?」
「そうかなぁ?」
「だって俺、なんだっけ……メープルティーだっけ?あれ知らなかったよ?」
「知ってるフリしたの?」
「なんか悔しかったからね」
そう言って笑う敬浩さんに胸が苦しくなった
自分より友達の方が彼女のことをよく知ってるなんて、逆の立場だったら私はすごく嫌。
「でも、敬浩さんも隆二くんが知らないことたくさん知ってると思うよ?」
「あー、Aのテクとか?」
「なんの?」
「………ふぇ」
「あーーーー!!なに言おうとしてるの!!」
大笑いをする敬浩さんの肩を、顔が熱くなるのを感じながらポカポカと叩いた。
そこにちょうど戻って来た隆二くん
「ほんと、仲いいね」
羨ましい、と小さく呟いた隆二くんの口はニッと笑ってるのに目は冷たく感じた。
1133人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:taka | 作成日時:2016年3月17日 18時