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story17 ページ36

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ふわふわ卵が人気のカフェでオムライスをテイクアウトして、帰って来たのは敬浩さんの家。









そろそろ仕舞い時な厚手の上着のポケットから、携帯を取り出そうとしたら手に当たった硬いもの









「あっ……」









また、私の頭の中に隆二くんがふっと浮かんだ









携帯とは逆のポケットに、









寒がる私のために温めてくれた、隆二くんから貰ったカイロが冷たく硬くなって身を潜めていた。









あの頃に戻りたい、隆二くんと一緒に笑いたい。









「Aどうしたの?そんなとこに突っ立って!早くしないと冷めちゃうよ!」









ソファーの横でポケットのカイロを握ったまま立ち尽くす私を不思議そうに覗き込む敬浩さん









「なんでもない!ハンガー借りるね?」









無駄にデカいキングサイズのベッドがある寝室へ荷物を置きに入った









後を追うようにここへ入ってきた敬浩さん









後ろから優しく抱きしめられて、お腹に回った腕を私もそっと握った。









「A、ほんと今日元気なくない?」









「…………寂しい」









「えっ?」









「敬浩になかなか会えなくて、寂しい」









それに、それに…………









隆二くんが笑ってくれなくて、寂しい。









「ごめんね、A。寂しい思いさせてごめん。まだ付き合ったばっかなのに」









「うん……でも、大丈夫。敬浩が忙しいのは分かってるから、わがまま言わないよ私」









「我慢しないで?会いたい時はちゃんと言って?無理な時もあるけど、会える時は絶対行くから。俺も、会えないと寂しいから」









「………敬浩」









腕の中でくるりと回り、敬浩さんの胸に飛び込んだ









きつく締まる腕の中は、温かくて安心する。









「A、大好きだよ」









「私も、大好き」









見上げたら、ゆっくりと近づく唇に私も目を閉じて近づいた








繰り返されるキスはだんだん深くなって、舌と舌が絡まり合う









荒くなる息とリップ音が部屋中に響き渡って、体の芯から火照りだす









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私、ほんとにどうしちゃったんだろう……









敬浩さんとキスしてるのに、









思い出しちゃった、隆二くんとのキスを。

*→←*〜side 隆二〜



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作者名:taka | 作成日時:2016年3月17日 18時

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