恋になるとき。2 (ページ19)

今日:7 hit、昨日:7 hit、合計:1,793,971 hit

＊ページ19

.

「Aー、ありがとう……もう、泣かないでよ」

私につられるようにまゆも泣いちゃって

「あーあ、２人して泣いてるよ」

優しい声の臣さんがまゆの頭をこれまた優しく撫でていて、羨ましい光景に嬉しかったはずなのに少しイラッとしちゃう。

あー、羨ましい……あー、寂しい……。

どんどん溢れる涙を手で拭っていたら、こんな私にも優しく頭を撫でてくれる人がいた

「…………りゅう……じ、くん」

「大丈夫？顔、ぐちゃぐちゃじゃん」

目を細めてにっこりと笑う隆二くんに無性に甘えたくなった。

「くる？……Aちゃんは俺の胸だよ」

私の気持ちが通じちゃったのかな？

隆二くんが腕を広げてくれたから、私は躊躇わずに飛び込んだ。

「ありがとう………隆二くん」

「ん、いいよ。俺で良ければいつでも、こうしてあげる」

嬉し泣きだったのが、悔し泣きになって、また嬉し泣きに変わる

もう自分でも何に対して涙が出てくるのか分からなかった。

ただ、幸せそうな２人を見たら私も誰かの優しさに触れたくなって、甘えたくなった。

お酒に混ざった香水の匂い、優しく撫でてくれる大きな手、隆二くんの温もりに触れて気持ちが落ち着いた。

まゆと臣さんの始まりの夜。