ハ 二 ー ＊ ト ラ ッ プ【降谷零】

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『いいんですよ、そんなに取り繕わなくても』

「そんなんじゃない！俺は、」





───俺は、君が好きなんだ。



そう、彼は私に言った。



その言葉が本当なら、どんなにいいだろう。


その言葉を何も知らずに信じられたら、きっと幸せだ。


でも、その言葉は私を油断させるための軽々しい一言に過ぎない。




だらだらとこの関係を続けて逃げてきたけど、ここで終止符を打たなきゃ、私はきっと前に進めない。




いつか終わりが来る偽の恋愛。




そんな偽りの愛、私はいらない。





「…だから俺は、」

『もういいです』

「…え？」

『私、全部、知ってるんです』




私は、彼に精一杯の笑顔を向けた。



「知ってるって…何を…」

『全部ですよ。貴方が私立探偵でもバーボンでもない顔を持っていることも、私にハニートラップを仕掛けてきていたことも』


あーあ、我慢してたのに。


私の目からは大粒の涙が溺れおちていく。


『…でも、私は貴方を責められない』

「…Aさ、」

『実は私も、安室さんにハニートラップを仕掛けてました』





言っちゃった。



これでもう、彼は私にハニートラップを仕掛ける意味がなくなった。



警戒されてる相手からは情報は引き出せない。





『でも、もうそれも終わりです』



私はもう、貴方と偽りの恋愛を続ける事が出来ない。



だって私は、貴方に本当の恋心を抱いてしまったから。



私だけ本物の愛で、貴方の愛は偽物なんて、こんなに辛いことはない…そうでしょう？









『ハニートラップは、もう終わり』





貴方との関係も、ここで終わりです。

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