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彼女が俺にハニートラップを仕掛けてきているのは分かっていた。
俺もそれに対抗して、彼女にトラップをかけた。
しかしこのハニートラップ対決、負けたのはどうやら俺らしい。
彼女は既に諦めたのかそれとも情報を掴んだのか、最初の頃に比べプッシュしてこなくなった。
俺はと言うと、彼女はシロだと思っている。
否、シロで会って欲しいと思っている。
俺は隣に座る彼女の髪の毛を触った。
細くて柔らかい綺麗な髪だ。毛先をくるくるして遊んでいると、Aさんが不思議そうな顔をしてこちらを見た。
「きれいな髪ですね」
『ありがとうございます』
彼女はいつだって他人行儀だ。
そのもどかしい距離感に、いつも俺は焦らされている感覚になる。
頬に手を添えて顔を近づけると、彼女は目を丸くして俺を見つめた。
…キッドの時はあんなに照れていたのに、俺の時は平然とした顔をしているんだ。
いらっとしたので、ちゅっ、とそのままキスしてやった。おでこに。
『…寝ますか』
淡々と、まるで仕事の流れ作業みたいにそう言われて、俺は少し傷つく。
少しくらい意識してくれたっていいのに。
「…Aさん、本当にあなたは、無防備すぎますよ」
『え？』
いつかのように彼女を押し倒す。
「男の前でそんなに無防備だと、喰われても文句言えませんよ、」
諭すようにそう言って、両手を軽く拘束する。
『なっ、』
初めて顔を赤くした彼女に、俺は少し良い気になった。
ちゅっ、と今度こそ唇にキスを落とす。
「A」
『…っ』
優しい、優しいキスの雨を降らせる。
最初は、触れるだけのキスを。
彼女は、俺にハニートラップなんてしかけてきたくせに、こういうのに慣れていないのが見え見えだ。
そしてそんな彼女のハニートラップに見事に落ちてしまった自分が少し悔しい。
彼女はもう俺を落とそうと考えてはいないだろうけど。
『…んっ…』
彼女の反応が可愛くて、やめられない。
ついいじめたくなる。
俺は隙を見計らって舌を滑り込ませた。
『…んんっ…！』
そんな潤んだ瞳で睨まれても怖くないよ、A
そういう顔は、逆に男を煽ってしまうと自覚した方がいい。
『…離して』
唇が離れると、彼女はか細い声で言った。
「え？」
『離してください！！』
はっと気づくと、彼女は大きい瞳いっぱいに涙を溜めていた。
『…帰ります』
彼女が部屋から出ていくのを、俺は呆然と見送った。
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椿 - えだまめさん» コメントありがとうございます！！多分どんどんグダグダになっちゃうと思うのですが、変わらず応援してくれたら幸いです！ (2020年1月29日 12時) (
レス) id: 55324010a1 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ - おもっしろい！夢主ちゃんと安室さんのすれ違いが凄くてもどかしい。でもそのムズムズ感も楽しいです！ストーリーもしっかりしてるけど、サクサク読める速さの流れなので毎回毎回が気になります。更新頑張ってください！応援しています！ (2020年1月28日 17時) (レス) id: e05e54b6fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椿 | 作成日時：2020年1月16日 19時
