狐の泰然【鬼灯の冷徹】 (ページ7)

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泰然＠英雄ページ7

*

「桃太郎よぉ…やっぱ鬼は強えぇよ……」
「無駄な喧嘩は売るもんじゃないね……」
「狐は獲って食うもんじゃねぇよう……」

三匹は倒れた状態から口々にそう呟いた。

「おのれ鬼めっ…所詮は血も涙もない奴よっ……桃太郎の剣術、受けてみよ！」

そう言い、桃太郎は鞘から剣を取り出し、鬼灯に向かい合った。

「……」
「……」

桃太郎は真剣、対する鬼灯は金棒。どっちが強いかは、一目瞭然。
そして、目に見えないくらい速い金棒が真剣を折った。

「あっ……イヤアアアアアア！！！」

「まあ……そりゃあな…」
「たとえ剣豪でも金棒一振りされたら剣は折れますよねー
　しかも相手は鬼(鬼灯様)ですしぃー」
「ですよねー……」

桃太郎が叫び、お供とAは桃太郎の残り僅かなＳＡＮ値を大幅に削る。

「何で鬼ヶ島で勝てたんでしょう、この人」

「イヤァ、正直あの時鬼ベロッベロに酔ってて…」

あっさりと仲間に裏切られる桃太郎。過去の英雄がこれでいいのだろうか。

「バラすな―――――！！」

「ああ、若さとビギナーズラックってやつですねー」

「……そうなんだよねー」

Aの言い分にあっさり肯定するシロ。

「オイッ！肯定すんなッ！」

「そりゃあ、町のみんなは喜んでくれたし…俺達も誇らしかったけど…」

「その後、うぬぼれちゃったよなー」

次の瞬間、鬼灯が桃太郎を殴った。
「(鬼灯様にしては優しいな)」とAは思ったが、空気を読んで言わない事にした。

「貴方、せっかく英雄として生きたのに、
　死後こんなことしてて……情けなくないですか？」

「……」

「…そうだよ、桃太郎。もうやめようよ…プライド守るのに必死だったんでしょ？」

「桃太郎…俺も色々言ったけど本当はアンタが好きだから一緒にいるんだ……でもな…

過去の栄光にさァ、いつまでもすがってちゃダメなんだよ。「桃太郎だから鬼に固執する」なんて間違ってる」

三匹がそう言うと、桃太郎が涙を流した。

「お……お前たち……」