狐の泰然【鬼灯の冷徹】 (ページ20)

今日:26 hit、昨日:15 hit、合計:457,035 hit

泰然＠落とし穴ページ20

*

「…ああ、あと高麗人参もください」

「あ、それはあっち。獲ってくる」

そう言い、白澤は鬼灯に言われた高麗人参を獲りに行こうとし、足を進めた。

「あっ、雑用は俺が……」

「よいのです。アレに獲りに行かせなさい」

「イヤ、でも一応上司…」

「白澤さん、一つ言います。由緒ある神獣でもバチは当たりますよ」

これはなにかあるなー…と思いながらも、口に出さずAは笑った。

「当たらないもーん。むしろ、お前に当たれ」

白澤がそう言った瞬間。

地面がベキッと嫌な音をたてた。

「えっ…うわっ！？」

「白澤様ッ！？」

刹那、白澤は天国から現世…を突っ切って地獄まで落ちた。

「これが本当の奈落の底ってね」

その後に、白澤が落ちた穴からは「ボケナス――――」と言う声が上がる。
一方、白澤がいる地獄では、上の穴から「人がゴミのようだ」との声が聞こえた。

「うるせ―――ジブリマニア！！」

一瞬の内に、白澤は地獄から天国まで上って来た。

「イダダダ……昨日、こんな穴なかったのに…何コレ怖ッ…」

「(どうやって上がってきたんだろ…さすが神獣……)」

すると、鬼灯はいつの間にか、スコップを所持していた。

「私のAに絡むからそうなるんです。
　不眠で６時間かけて掘りました。落ちたことを誇りに思え」

「誰がお前のAちゃんだ！！僕のAちゃんだよ！！
　仕事しろよ！ロンドンハーツのスタッフかお前は！！！」

「貴方が人間なら、とっくに大量受苦脳処地獄へ堕ちているでしょう…
　いやあ、徹夜した甲斐があった…」

「Aちゃんと薬代おいて、とっとと地獄へ帰れ！！」

「冗談もやすみやすみ言いなさい。Aは私の彼女です」

「いいや、僕の彼女だね！」

Aが、誰の彼女かで喧嘩が始まりそうなときに、当のA本人は兎と戯れていた。

「食べません!!食べませんよー!!」

*

そのころ、地獄。

「性根の似た者同士って異様に仲悪いんだよなあ……」

と、閻魔が呟いた。