狐の泰然【鬼灯の冷徹】 (ページ2)

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泰然＠第一補佐官、補佐ページ2

*

「―――血の池地獄は大丈夫ですねー。集合地獄はどうですかー？」

さらさらと紙に情報を書き込んでいくA。
その隣には鬼が一人。

「集合地獄は亡者の数が多くて従業員不足です。それから―――」

「A様ぁー！！黒縄地獄が経済破綻しそうですっ」

「おい、割り込んでくんなよ！」

そこで、獄卒同士の口喧嘩が始まろうとするが、Aが書類に目を通しながら動じずに答えた。

「しょうがないですよー閻魔大王(あのバカ)が相談しろ、とでも言ったんでしょー？」

「あっ……は、はい！！」

獄卒がAに話しかけられ顔が赤くするのも無理は無いだろう。
獄卒にとって、Aはアイドルみたいなものだ。
さらっと上司をバカ呼ばわりするのを無視できるくらいに人気がある。

「……今、A様が大王の事、バカ呼ばわりしたような気が……」

「A様ぁ―――！！」

すると、Aと結構仲の良い獄卒の茄子がAの名を呼びながら此方に走って来た。
Aは「おやおや」と穏やかに微笑む。

「どうかしましたかぁー？茄子君」

「なんか、桃太郎とかいうのが来て……」

「桃ですかー？一体、何処の国の外交官の方からですー？」

「いや、贈り物とかじゃなくてですね！？鬼灯様も向かってらっしゃいますので来てください！！」

グイグイとAの手を掴み、引っ張っていく茄子。
獄卒の二人は、話についていけず、その場に立ち尽くすばかりだった。

*

「あら？あの拷問用具(アイアンメイデン)どこの経費から……」

「A様っっ！こっちこっち！」

注目する点が違うAに今はそれどころじゃない茄子が名前を呼ぶ。
Aが「まあまあ」と前を向くと、見知った顔の鬼神。

「あれ？Aじゃありませんか」

「あら、鬼灯様。で、桃太郎は―――……」

「おっ！そいつら、上官だなっ！？俺と勝負しろっ！！！」

「「…………」」

Aと鬼灯は目の前の、いかにも「桃太郎」ですが何か？というレッテルの青年を凝視し、思わず無言になった。