覚醒した大罪人 (ページ30)

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第30話ページ30

茉「死ぬって何する気?人形のゴウセルはどうなるの?」

ゴ「…あぁ、そのことなんだが…

“自我起動(オートアウェイク)”」

ゴウセルがそう唱えると、人形のゴウセルの瞳に光が戻った。

ゴ「おはようゴウセル」

ゴ「……おはようゴウセル」

ゴ「寝起きに突然の話ですまないがよく聞いてくれ」

ゴウセルは真剣な表情になって、ゴウセルの目を見つめた。

……何か凄いややこしいね。

ゴ「今からお前はたった1人、自分自身の意志で生きていかねばならない」

ゴ「……」

そんな事実を突きつけられた人形のゴウセルは、何も言わずにただゴウセルを見つめているだけだった。

…そりゃそうだよね。

突然そんなこと言われても何も返せないよ。

ゴ「知能は私並みとはいえ、感情面は赤子も同然…

本当は俺から色々教えてやりたかったよ」

唖然とするゴウセルに、優しく言葉をかける。

ふと人形のゴウセルを見る。

茉「あ…!」

「……ボクを、置いていかないで……」

そのゴウセルは、目から大粒の涙を流していた。

茉「人形なのに…あっ」

ゴウセルの目の前でこんなこと言ったら流石に失礼だったよね…。

ゴ「…ボクは人形…

ボクが人形…だから…置いていくの…?」

…やっぱりまずかった。

ゴ「…違うよ。それにお前はただの人形じゃない…

よく聞くんだ」

でもそんな人形のゴウセルを慰めるように、優しく微笑んだゴウセル。

すると、ゴウセルが人形のゴウセルの胸に手を当てた。

ゴ「お前の胸には俺がありったけの“心の魔法”を詰めた心臓が入っている」

心の魔法って何だ…?

そんな魔法あるのだろうか。

…いや、もしかしたら――

って、そんなこと今はどうでもいいんだよ。

会話だけでも聞いておかないと。

ゴ「これは、俺からお前への最初で最後の贈り物だ」

ゴ「ボクの、心…」

最初で最後…。

つまり、ゴウセルとはもう会えなくなるってこと…?