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そう、それは高校入学の少し前のこと。
その日、私はただママにパシり(おつかい)の帰りだった。
ふと、路地裏の方で女子が一人、そして周りには囲い込むように複数の女子達。
なんだろうと、ほんの好奇心で見てみた。
囲まれた女の子は怯えたように、その周りの女子達といったらその様子を笑っていて。
すぐに状況を理解した。
中心にいる容姿の良さといったら、この世界のヒロイン
勿論、この世界で平穏に生きていくためにはそれくらいは知識として知っていた。
恐らくこの状況はよくある、ヒロインちゃんに嫉妬した見た目的に先輩達による嫌がらせだろう。
あまりにジロジロと見ていたせいか、その時バチッとヒロインちゃんと目が合ってしまって。
その涙目はまるで助けを求めているようで、逸らそうにも逸らせなかった。
いや、でも……しかし私の心はそれを許さなかった。
「……すぅぅ……すいませーん！！ここで集団の嫌がらせをしている人達がいまーす！！」
私はできるだけ大きな声で叫ぶと、女子達は「やばっ！」と焦った様子で路地裏から走って行った。
すとん、と力が抜けたように崩れ落ちるヒロインちゃん。
よし、申し訳ないが私はここで退散……
「あ、あの！待って…！あっ……」
すると立ち上がろうとした瞬間コケたヒロインちゃん。ちょっと流石にドジっ子ヒロインとはいえ、ここでドジを出さないでくれ？！と言いたかったものの、私はそのまま見逃す肝は据わっていない。
仕方なく、仕方なく、「…ダイジョウブですか」と手を差し伸べたときだ。
「……なにしとるん」
……やっべぇ、やべぇよ、この声とか……。
振り返れば、なんてタイミングだてめぇらと言いたいタイミングで、彼らはいた。
ヒロインに恋するメインキャラ兼特に面倒なセコムキャラのシャオロンとコネシマであった。
2人ともどす黒いオーラをまとって、しかも声はいつもより超低い。
それもそのはず。恋する人が倒れてて、その目の前に女子がいる、しかも相手はヒロイン。女子の嫉妬で嫌がらせなんて何度もある。
彼らを勘違いさせるには十分すぎたのだ。
「…あ……シャオロンくん、コネシマくん……ぐすっ」
「……！！てめぇ…！愛佳に何しやがった！」
あああああ、何してるのヒロインちゃんんんんん！！
涙目のせいでもっと彼らを怒られちゃったじゃないかぁ！！
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作者名：太陽葉 | 作成日時：2021年7月27日 16時
