_久しぶりだね ページ21
「…ただいま。」
久しぶりの我が家に足を踏み入れた。
ヒンヤリとした空気感なのは相変わらずだ。
「あら、おかえりなさい。
隣の人は誰?」
仮面を貼り付けたような笑み。
ただただ、目を合わせたくない。
「知り合い。」
「…まぁいいわ。何か話があるんでしょう。」
流石、と言うべきか。
何でもお見通しね。
「あの、単刀直入に言うけど。
会社、クビになった。」
すると、顔色が変わった。
そして悪寒を感じる程の笑みを浮かべて言った。
「あら、そうなの。
じゃあもう顔を合わせないわね。」
……………まぁ、言われると思ってた。
けど結構破壊力が凄いな。
思わず俯いてしまった。
「あのっ、僕全く関係ない…です…けど、
そんなこと言うのは間違ってる…んじゃないですか…」
少し敬語がたどたどしい十四松が口を開いた。
「なぁに、貴方。私たちの話よ。
口出ししないでいただきたいわ。」
「でもっ!僕はおかしいと思う!」
「これは私たちの問題です。」
「…僕は自由に生活してた…んです。
ずぅっと。今も。
すっごく、毎日が楽しいから、Aちゃんにも感じて欲しかった。」
「何が言いたいの。」
「あ、えぇっと…
自分の子供を、そんな簡単に手放すなんて、
やっちゃいけないことです。」
「十四松っ、もういいですっ、いいですからっ…」
何かを諦めたような表情をした母は告げた。
「私にとって、この子は道具以外の何ものでもない。
コレが欲しいなら勝手にすればいいんじゃないの?
今までお金を入れてくれてたから、家族だったけどねぇ。
もういいわ。」
その
「えーっ?なんて言ったーっ?
僕の聞き間違いじゃないよねぇっ?!」
狂った。
その一言に尽きる。
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作者名:イチゴミルクティ。 | 作成日時:2021年2月6日 23時