User Unknown2 ページ8
ガチャン！
竹製の原始的な檻にAは投げ込まれた。あたりは暗く、何もみえない。
獅子王司のシルエットが暗闇の中でゆらゆら動くのが見えた。
「君は、千空が大好きなんだね」
低く、落ち着いた声で司が語りかけてくる。
「実は僕も大好きだったよ、うん」
意外な言葉にAは目を丸くした。
本来なら何を言ってるんだと思うような言葉だったのだが、司の言葉の雰囲気からでは不思議とそのような気持ちにはならなかった。
「人は、誰かと一緒にいることでしかみえない景色があるね」
「僕も千空と一緒にいることでたくさんのことが見えるようになったよ」
「君も、そうだったのかな、うん」
司の声は優しかった。
その優しさが余計にAの心の寂しさを掻き立てた。
胸の奥がきゅーーっと引き締められるような感覚。その感覚に耐え切れず、Aは檻の中で小さく体を丸めていた。
「今だったら見えるんだ」
「誰の人生の存在も、誰の未来の存在も意味のあるものに見える」
「だから、本当にこれでいいのかって思い留まりそうになるんだ 千空に会うまでそんなこと一度も思わなかったのにね」
司は返事のない檻の奥に話しかけ続ける。
「でも変えられない」
「僕も守りたい未来があるから」
「君はどうしたい？」
司の問いかけに、Aは丸めていた体を起こし、檻の前に現れた。月あかりに照らされたAの瞳はキラキラとしている。
「千空を助けたいよ」
「死んでるのに？」
「死んでない、意思ならね」
凛とした瞳を向けるAに、司は優しく微笑んだ。
「うん、そうだね わかった」
司は音をなるべく出さないようゆっくり錠を開けてAを開放した。
檻をでたAは振り返り、恥ずかしそうに聞いた。
「もしかしてバカらしいかな？」
司は左右に首を振った。
「愛は、他者と共有できない。どれだけ言葉を重ねても分かり合うことはないよ。できるのは憎悪だけ」
「だから、愛は尊いんだ」
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たいやき(プロフ) - 小麦粉さん» ありがとうございます！何か思いついたらまた更新できるようにします！ (2019年12月16日 3時) (
レス) id: 19c5eaa8c0 (このIDを非表示/違反報告)
小麦粉(プロフ) - はしまして！全作品読ませてもらいました！凄い好みで読めて嬉しかったです。続きを待ってます！ (2019年12月15日 8時) (レス) id: 738efae2c3 (このIDを非表示/違反報告)
たいやき(プロフ) - いちかさん» こちらこそリクエストありがとうございました！感想も嬉しいです！^_^ (2019年11月29日 6時) (レス) id: 19c5eaa8c0 (このIDを非表示/違反報告)
いちか(プロフ) - たいやきさん» こんにちは。hとχの続き、読ませて頂きました！こんなに早く上げて頂けるとは…本当にありがとうございました！千空が自分をヒョロガリと称するの可愛いかったです笑 (2019年11月26日 14時) (レス) id: 1198a4bf74 (このIDを非表示/違反報告)
たいやき(プロフ) - いちかさん» ありがとうございます。私も学生時代に想いを馳せたつもりです！笑 リクエストありがとうございます。後ほど書いてみたいと思います！ (2019年11月19日 20時) (レス) id: 19c5eaa8c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たいやき | 作成日時：2019年10月24日 11時
