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45.佐野side3-5 苦手なアイツ ページ45

「ケンチーン、俺あいつ苦手だわ。」


「下野?まぁ、あいつは変な女だな」


「どうにかして!ケンチン!!」


「はぁ!?何で俺なんだよ!!
 自分でどうにかしろや!!」
 

「うぅ…イケズなケンチン…」


「_______ったく、しょーがねーな。
 たい焼き買ってきてやるから、
 元気出せ!」


「わぁ!マジで!?
 やっぱり俺のケンチン♡」






ケンチンは唯一、
俺の中で素を見せられるダチ。

他のメンバーにも
もちろん素を見せてるけど
甘えられるのはケンチンだけ。






「ありがとう、ケンチン大好き」


「気持ち悪りぃ、やめろ」


「なんで〜!?
 好きって言ってやってんのに
 その態度酷くね〜?」


「はいはい、ありがとな」


「ウン!」





俺が女だったら
絶対ケンチンと付き合ってるな〜






「下野のやつ、噂じゃ
 メンヘラらしいぜ」


ケンチンがバイクに跨りながら言う。



「あいつ、マイキーの前に別の男に
 同じようなことしてたらしい」



「へぇー。」


「その男はさ、」


「うん?」




「下野がメンヘラすぎて嫌になって
 別れようとしたら、
 目の前で手首を
 ハサミで切りやがったらしくて」



「え、」



「だからお前、
 マジで気をつけた方がいいぜ、
 なんかあったらすぐ俺に言え。
 お前よりは女心わかるからよ。」


「まぁ、そこは確かに。」


「だろ?」


「でもケンチン
 なんでそこまで知ってんの?
 俺も下野のことそんな知らねぇのに」


「お前授業中寝すぎなんだよ、
 一回みんなその話で持ちきりに
 なった時があったんだよ。
 その時お前寝てたろ?」


「え、いつの話?」


「いつって、結構前。
 5月ぐらいだな。」


「2ヶ月も前じゃん!」


「ま、噂だけどな。
 俺も直接聞いた訳じゃねぇからよ。
 確かその男は同じ学年の奴だったはず。
 クラスとか名前までは覚えてねぇけど。」




「ふーん」


「お前、危機感なさそうだから
 殺されたりして。」


「は?俺が?んな訳だろ」


「無敵のマイキーだかんな」


「フッ、褒めんなって」






でも、なんかやばそうなのは
ちょっと俺も勘づいてた。



学校が終わって帰る時
待ち伏せをされる時が多かった。



そういう時は面倒だから、
校舎の裏の柵を登って
学校を出たりもしてた。


嫌な予感はしなくもない。






「おい、たい焼き屋行くぞ!」


「あ!待ってケンチン!!」

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作者名:ゆゆゆ | 作成日時:2021年9月1日 23時

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