たい焼きに裏と表ってあるのかな？《佐野万次郎》 (ページ44)

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44.佐野side3-4 あざとい女ページ44

「ふーん、下野って奴は一年生？」

「うん、そうだよ」

「何組か知ってるか？」

「ごめんなさい、
　そこまではわからない…」

「そっか、ありがとな」

礼を言ってすぐに教室を出る。

「おい、マイキーどこ行くんだよ！」

「あ？今から下野瑠亜ってやつを
　探しに行くんだよ。」

「何組か知ってんの？」

「いや、しらね」

「は！知らねぇのに
　今から探しに行くの？」

「そこら辺のガキに聞きゃわかるだろ」

「まぁ、そうだな」

ケンチンと階段をスタスタ降りて
一年生の階に向かおうとした時

「おい！待て、てめぇ…
　下野じゃねーか？」

下野は少し焦った表情をしたが
平然を取り戻して言った。

「マイキー君！会いたかったよ」

「会いたかったよじゃねーよ、
　お前何言いふらしてんの」

「え？何を？」

「とぼけんじゃねーよ、
　俺と付き合ったとか
　勝手に言ってんだろ？」

「え、だっていいよって…」

「話し相手についてだろ？
　付き合うとか一言も俺言ってねぇよ。」

「そんな…酷いよ、マイキー君！」

下野は少し
演技混じりの泣きそうな顔をした。

「は？？？こっちのセリフだよ。
　勝手に変な噂立てられて
　迷惑極まりないんだよ。」

下野はもっと泣きそうな顔をする。
これは演技では…なさそうな感じだ。

「おい、マイキー、
　めんどいことになる前に
　その辺にしとけ。」

「何で？俺なんか悪いことした？」

「____チッ、あーコイツら
　本当世話が焼けるわ。
　女が泣けば、何もしてないのに
　傍から見れば悪いことした
　みたいになるんだよ、
　もう行くぞマイキー。」

ケンチンに腕を引っ張られて
その場を去ることしかできなかった。

俺的にはもう少し物申したかったけど。

その後、
噂は、俺が直接下野に言ったのと
クラスに乗り込んだりしたことで
違うということは
他の奴らには理解された。

でもやっぱり問題はあいつ、
下野瑠亜。

こいつは相当厄介な奴だ…

その後も下野は俺を見るたびに
声を掛けてきた。

「おい、やめろって」

「なんで〜？彼女だからいいじゃん」

「お前の彼女になった覚えはない」

「何でそういうこと言うの？」

「うっせぇな、しつこいんだよ。
　くっついてくんなって」

「もう知らない！」

そう言って不機嫌になって
どこか行ってくれるならまだよかった。