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13.佐野side1-1 餡子事件 ページ13

“たい焼き屋さんが
 桜坂商店街に新しくできるらしいよ“


俺はその情報を逃さなかった。






「ねぇねぇケンチン、
 明日たい焼き食べに一緒来てくんね?」


「はー?無理ー」


「なんでだよ!!
 ケンチン、俺に逆らう気〜?」


「おいおい、
 めんどくせぇーこと言うんじゃねぇよ。
 俺、明日用事あっからよ」


「え!何があんの?」


「なんでもいいだろー」


「エマか?」


「あん?……ま、そんなとこかな」


「相変わらずだな、ケンチンは笑」


「何がだよ」


「なんでも〜
 いいもん、俺1人で行ってくるし〜」


「おう、行ってこい、
 一人でたい焼き屋巡りな〜」








俺はここのたい焼きが大好きで
ずっと通っている。

店員から覚えられて、
たい焼きおまけして貰うこともある。


なんかあそこの店って、
店員みんな優しいんだよな、
なんでだろ?



そんなところも好きで通ってんだけど、
今日からオープンするところが
家の近くにあるって聞いたから
今、俺はそこに向かってるって訳だ。






うん、いい香りがする…!!!
やっぱりここのたい焼きの香り、
嗅ぐだけでも満足できそうだ…。






「すみませーん」






たい焼きを焼いてる女の子に話しかける。

でも気付いてない。







「すみませーん、すみませーーん」



『あ!は、はい!!!!!』


「注文いいすか?
 さっきから声かけてたんすけど」


『あっ、すみません!!!お伺いします!!!!!』








おい、大丈夫か?

なんかボーっとしてっけど…


ってかなんか俺のことをまじまじと
見てねぇーか?







「お姉さん?」


『あ、すみません…!!!』


「たい焼き、黒餡一つ」







女の子は俺の注文を聞くと、
にっこり笑顔で受け答えした。
ちょっと焦ってたっぽいけど。




『お待たせしました!』




女の子はまた、とびっきりの笑顔で
俺に言う。






無事にたい焼きを受け取って、
さあ、至福の時間だ…!!



パクっ…パクっ…



「あ?????これ白あんじゃねーかよ!!!!!」


おいおい、あの女、間違いやがったな…





ちょっと文句言ってやっか……?



そう思った時、
女の子の笑顔が俺の頭の中に浮かんだ。

それと共に、
なんかいつもより美味しく感じた。




「うん?なんかうめぇな、
 焼き具合がいつもとちょっと違う。」




文句言うのはやっぱやめとくか。

二口も食べちゃったしな。









________でも、まぁとりあえず報告しとくか








美味かったって。

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作者名:ゆゆゆ | 作成日時:2021年9月1日 23時

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