91.急いで戻ろう ページ15
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不思議に思っていると、蛍丸君が耳元で小さく呟いた。
「って事だからさ、主。ちょっと簪貸してね?」
「え、う、うん…?」
戸惑いながら頷くと、蛍丸君は髪に刺していた山吹の簪を取ると、そのまま笑顔で奴良君に差し出した。
纏め上げていた髪がサラリと下に落ちる。
それを見た奴良君はハッとした表情で、蛍丸君を見る。
「持ち主がいるなら返してあげれば?ま、何処に居るのか知らないけどね」
「っ!…わかった、ありがとう!」
そう言って蛍丸君から簪を受け取ると、奴良君は風の如く部屋から飛び出した。
……えーと?未だに状況が把握出来ないんだけど?
にこにこと笑う蛍丸君。
そして奴良君が出て行った時に、まんばが霊体化を解いた。同時に溜息を吐く。
「…今度の新入りは中々意地の悪い奴だな」
「えー?でもあのままじゃ、主が疑われてて可哀想だったじゃん」
「…それもそうだな。なら、あんたも急いで戻らないと面倒な事になるぞ」
「??」
面倒な事?なんで?
…なんか私だけ把握出来てない。馬鹿みたいに見えるんだが。
そんな私を見兼ねてか、まんばが簡潔に説明してくれた。
「…さっきの奴はあの簪があんたの物だと知っている」
「う、うん」
「そしたら初めて会った審神者のあんたが同じ簪を付けていた」
「うん…」
「理由を聞いた所、蛍丸が森で拾ったと知った」
「うん」
「…何故あんたが付けていた筈の簪が森の中で落ちていた?」
「え、それは蛍丸君が言った嘘で…」
「だから、あいつはそれが嘘だなんて思ってる様に見えたか?」
「見えなかった、けど……………え!?」
「ハァ…やっと気付いたか…」
え、え、え…?
今のがそうだとしたら、奴良君…私がまだ森の何処かに居て何か遭って簪が落ちちゃった、とか思ってたり…する!?
じゃあ、あんなに焦ってたのって…私に何か遭ったと思ってたから?
それで私を探しに、簪を届けに行こうとして…?
それって……
「や、ヤバくない!?私はここ!!」
「だからそうだと言っているだろう…」
「よーし、じゃあ早くここを出よっ」
私は言われた通り早くここを出た。
無断で立ち去るのは何か嫌だったので、置き手紙を残して、借りてた布団を畳んでから出発した。
途中で他の刀剣男士達と合流し、急いで清継君の別荘へと走った。
あ、ちゃんと羽織と布は取って、刀剣男士達には霊体化して貰ってます。
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もこ(プロフ) - 初コメ失礼します!私逆ハー大好物なのでしてくれると嬉しいです!刀剣男士、ぬらりひょんの孫のキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (2023年4月21日 21時) (レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
奥山乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します!出来たら全員のキャラに愛されたいです!(恋愛的に)あと落ちは出来れば全員落ちみたいなのが見てみたいです!無理せずに頑張ってくださいね! (2022年12月21日 5時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
赤い猫(プロフ) - 返信&更新ありがとうございます!これからも、ぬら爺と三日月じぃじのお茶会を想像しながら忠犬の如く待ちます!凄く好みな話しなので大丈夫、待てます!(`・ω・´)なので、無理の無い様にのんびり気が向いた時に更新して下さいね! (2020年11月10日 9時) (レス) id: 980ce92203 (このIDを非表示/違反報告)
サヒア(プロフ) - 赤い猫さん» 大変申し訳ありません…。亀よりも遅い更新となりましたが、今後も広いお心で読んで頂けると嬉しいです…。本当にすみません…。 (2020年11月10日 2時) (レス) id: be10d4266f (このIDを非表示/違反報告)
サヒア(プロフ) - はまぐりさん» いやホントにもう更新遅くてごめんなさい!!!頭の中では大体出来てるんですが、それを字体にするとなると…。とにかく!遅くなり、すみませんでしたーー!! (2020年11月10日 2時) (レス) id: be10d4266f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2019年8月15日 16時