53.帰り道2 ページ11
黙ってしまった三代目さんを見ようとするが、顔を逸らされてしまう。
それに反対の手で顔を抑えいるので、表情が掴めない。
「？三代目さん、何で顔を逸らすんですか？」
「……いや、気にするな」
「いやいや、普通に気になるんですけど。何か私ダメな事やっちゃいました？」
「そう言う訳じゃねぇ…が、Aさん」
「？はい」
ようやく顔を合わせてくれたが、仄かに赤みが差しているように見えた。
そして表情は何故か不機嫌そう。
ずいっと顔が近付き、赤い瞳がキラリと輝く。
「そう言う事はだな、…あんまりすんな」
「え？」
「変な気になる」
変な気？
何だそれは。
とは聞けなかった。三代目さんが真剣な表情をしていたから。
分からないまま、とりあえず頷いておく。
「…じゃあ手を繋ぎましょう、三代目さん」
〈〈！！？〉〉
「は」
「これで少しは寒さも紛れる筈です。って事ではい、どうぞ」
「……」
手を差し出すが、一向に受けないので痺れを切らした私から彼の手を取ってやった。
そのまま握って歩き出す。
見えない二人が何やら騒いでいるが、気にしたら負けだ。
「…はぁ。わかってたが、やっぱり目が離せねぇ」
「？」
「独り言だ。Aさん、もうちょい警戒心ってのを身に付けた方がいいぜ」
「はあ…」
「…じゃないと、急にこんな事されても文句言えねぇからな」
「！」
繋いだ手をぐいっと引っ張られ、そのまま三代目さんに抱き締められる。
突然の事に思わず目を丸くした。
脱出を試みるがかなり強い力で抱き締められているため、抜け出せない。
「ちょ、三代目さん……ひゃ！？」
ふぅっと耳元に息を吹きかけられ、変な声が出てしまった。
男に力では敵わない事を実感する。
く！一生の恥！
「さ、三代目さん！？は、離して下さい！」
「わかったかい？」
「わかった！わかりましたから！離して下さいー！」
そう言うとぱっと解放される。
すぐにばっと距離を取った私を見て、何処か嬉しそうにクスクスと笑う三代目さん。
何故だろう…、凄く悔しいんだが。
何だ、この敗北感。
そこでスッと手を差し出される。
「手、繋いでくれんだろ？」
「………」
笑う顔が今は憎らしい。
やや間が空いた後、私はゆっくりその手を取った。
急に意地悪になったぞ、この人。
さっきまで可愛げはあったのに。
…警戒されるのが嬉しいの？わからん。
そのまま家の手前まで手を繋いで帰った。
色々あった夜はようやく終わった。
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サヒア(プロフ) - 来霧さん» 返信遅れて大変申し訳ありません！発狂して見てくださってるんですか！？尊い！？神！？嬉しい言葉の連発をありがとうございます！続編に行きましたので、是非是非そちらも続けて閲覧して頂けると嬉しいです^ ^ (2019年8月15日 16時) (
レス) id: f3e12664ea (このIDを非表示/違反報告)
来霧(プロフ) - コメレスありがとうございます！いつも発狂しながら見てます！ほんと尊いです！そして蛍丸まで出してくださって！神！ありがとうございます！！！ (2019年6月10日 22時) (レス) id: cc1c1fbc8a (このIDを非表示/違反報告)
サヒア(プロフ) - 来霧さん» 本当ですか！？嬉しいです！！これからも頑張りますので、応援宜しくお願いします^ ^ (2019年6月10日 20時) (レス) id: f3e12664ea (このIDを非表示/違反報告)
来霧(プロフ) - ほんとにどんどん面白くなっていきますね！！これからも応援してます！ (2019年5月28日 18時) (レス) id: cc1c1fbc8a (このIDを非表示/違反報告)
来霧(プロフ) - あぁぁ！！尊い。更新楽しみに待ってます！ (2019年4月24日 8時) (レス) id: cc1c1fbc8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サヒア | 作成日時：2017年12月29日 23時
