32.解散後 ページ35
少し気不味い空気の中、その日は解散となった。
そして私の腕にはハンカチで包まれた人形がいる。
早く帰って綺麗にしようと思った。
横では家長さんと及川さんが明らかに落ち込んでいる、と言うか顔色がかなり悪かった。
「ど、どうしたのカナちゃん。顔色悪いよ」
「リクオ君…。あんなにはっきりおばけ見ちゃったら普通落ち込むでしょ。トイレ行けない…」
「そっか、そうだよね」
家長さん、怖がりだもんな。
さっきから私の持つ人形見て引いてるし。
「Aちゃん…。それ、本当に持って帰るの?」
「うん、勿論そのつもりだけど」
「家に持って帰ってどうするの?」
「綺麗にして、家に飾る。きっとこの子は寂しかったんじゃなかいかって思う。ずっと一緒だった主に雨の中捨てられて、ずっと…一人で辛かった筈」
「Aさん…」
優しく私は人形を抱き締める。
「だから辛かったその倍くらい、幸せにしてあげたいんだ。…変?」
顔を傾けながら奴良君に問い掛ける。
そんな私を見た奴良君はぶんぶんと首と手を横に振る。
「ぜ、全然!そんな事ないよ!ボクは凄く良い考えだと思う。その人形もAさんに拾われて幸せなんじゃないかな?」
「…わ、私もそう思うわ!幸せに決まってるわよ!」
奴良君の横から飛び出て来たのは及川さんだった。
何故か頬がやや赤くなっている。
可愛い二人に少し可笑しくて笑ってしまう。
「あははっ…。ありがとう、二人共」
「「!!」」
「ん?どうした?顔が赤いけど」
「な、何でもないよ!」
「そそそうよ!」
まあ、二人がいいならいいか。
「わ、私もいいなって思ってるからね!」
「うん、ありがと。家長さん」
「うん!」
ぱぁっと笑顔になる家長さんはやはり可愛い。
が、及川さんが一気に怒りのオーラを纏ってしまった。
「それとリクオ君!次の日曜日忘れちゃダメよ!」
「あ、うん…」
「じゃあね!リクオ君、Aちゃん!」
にこにこと笑顔で手を振りながら家長さんは帰って行った。
先程の落ち込み様は何処に行ったのだろう。
そう、今週の日曜日、何故か奴良君の家に集合する事になったのだ。清継君が趣があるとかどうとか。
奴良君にとって良い迷惑だろう。思わず溜息が出る。
すると、何やらざわざわと人が騒いでいた。
何だろうと三人で目を合わせ、注目の的となっている中心を見る。
そこで見た人物に私は目を疑い、ビシリと固まる。
な…何でまんばと薬研君がいるんだーーっ!?
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奥山乃愛(プロフ) - 出来たら全員出してほしいです……無理せずに頑張ってくださいね! (2022年12月24日 10時) (レス) @page38 id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
サヒア - 牡丹さん» いえいえ、指摘して頂いて助かりました。ありがとうございます! (2018年3月6日 1時) (レス) id: c08842489f (このIDを非表示/違反報告)
サヒア - CANさん» わかります!まんばは最高ですよね! (2018年3月6日 1時) (レス) id: c08842489f (このIDを非表示/違反報告)
牡丹 - すごく面白いです!あと、29の呪いの人形が呪いの人気となってます。いきなり指摘して申し訳ありません (2018年2月13日 16時) (レス) id: f8ceff626c (このIDを非表示/違反報告)
CAN(プロフ) - 切国ほんっとにカッコイイし可愛い!流石我の初期刀だわ!← (2018年1月23日 2時) (レス) id: 851af0ac90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2017年9月2日 21時