30.日本人形2 ページ33
そう思いながら、人形へと目線を向ける。が、何処にもそれらしいものはない。
「何もなってないか。全く貴重な資料を…。名誉会員から外してしまうよ?まあいい、次だ」
ふぅと溜息を吐き、清継君は話の続きを読み出した。
「二月二十四日、彼氏に言って遠くの山に捨てて来て貰った。その日の夜、彼氏から電話『助けてくれ…。気付いたら後ろの座席にこいつが乗ってた…』」
「え?そ、それでどうなるの?」
「考え見れば昔から変だった…。この人形、気付けば髪が伸びている様にも見えた…」
その時何かの声が聞こえた気がした。
悲しい…泣き声と叫び声の様な。
「二月二十八日、引越し前日。おかしい…。しまって置いた箱が開いている…」
「日記を読むのをやめてぇえええ!!」
突然の奴良君の声に反応すると、そこには刀を持った日本人形が怒った表情で振り翳そうとしていた。
そこであの声が一体誰のものだったのか理解した。
そうか…。この子は寂しかったんだ。
寂しくて悔しくて悲しくて…辛くて、それで涙を流していたんだ。
ずっと一緒に居たかったんだ。
「Aちゃん!危ないっ!」
「Aさぁあん!!」
刀が振り下ろされる。
そう思った時だった。何処からか札の様な紙が何枚か人形へ飛んで行き、人形が破裂した。
《ーーーー》
「あ…っ!」
受け止めようと手を伸ばすが、届かずに人形は床に落ちる。
…一体誰がこんな事をした。
くるりと紙が飛んで来た方を見る。
そこでやはり、と一人納得した。
「浮世絵町…。やはりおった」
ああ…、やっぱり君だったのか。
そんな気はしていたよ。花開院ゆらさん。
「陰陽師花開院家の名において。
突然の事に皆驚きを隠せないで居た。
それは驚くに決まっているだろう。妖怪が陰陽師である彼女によって滅せられたのだから。
他の皆が花開院さんを囲む中、私はそこから動く事が出来なかった。
何故かとても、悲しくて仕方がなかったから
話によると花開院さんは花開院家の陰陽師の末裔で、ここ浮世絵町には妖怪の主がいるらしい。
彼女は試験として、妖怪を封じる為に、頭主を継ぐ為にやって来たらしい。
「す…凄いぞ!プロだ!プロが来たんだ!!ボクの…清十字怪奇探偵団に!!」
清継君は嬉しそうにテンションを上げ始める。
だが、今の私にはそんな事どうでも良かった。
私は人形に近付き、一人ハンカチに欠片を集め始めた。
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奥山乃愛(プロフ) - 出来たら全員出してほしいです……無理せずに頑張ってくださいね! (2022年12月24日 10時) (レス) @page38 id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
サヒア - 牡丹さん» いえいえ、指摘して頂いて助かりました。ありがとうございます! (2018年3月6日 1時) (レス) id: c08842489f (このIDを非表示/違反報告)
サヒア - CANさん» わかります!まんばは最高ですよね! (2018年3月6日 1時) (レス) id: c08842489f (このIDを非表示/違反報告)
牡丹 - すごく面白いです!あと、29の呪いの人形が呪いの人気となってます。いきなり指摘して申し訳ありません (2018年2月13日 16時) (レス) id: f8ceff626c (このIDを非表示/違反報告)
CAN(プロフ) - 切国ほんっとにカッコイイし可愛い!流石我の初期刀だわ!← (2018年1月23日 2時) (レス) id: 851af0ac90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2017年9月2日 21時