16.警戒 ページ17
坂を登り切ると薬研君に奴良君が待ってくれており、手を引いてくれた。
二人共優しいな。本当に。
そして私達は目的地である旧校舎に到着した。
ヒョオオ…と風が吹き抜けており、中々雰囲気がある。
かなり不気味だ。
ここを今から調査とやらをするのか。
え、嫌なんだけど。帰りたい。
帰りたいが、旧校舎に着いた頃から家長さんが腕を掴んで離さない。
つまり、逃げられないと言う事。
「おお！中々雰囲気があって良いじゃないか！とにかく中に入ったら事細かく調査だ。ここに妖怪がいるなら…あの人に通じる何かがきっとある筈さ！」
さあ行こう！と先頭を突っ切りながら、中へ続いて皆入って行く。
残りは私、薬研君に腕から離れない家長さんと奴良君だ。
「…大将、俺っちから離れるなよ」
「え？」
「嫌な感じだ…」
薬研君は私の耳元で小さくそう呟いた。
嫌な感じ、時間遡行軍がいるかもしれない…と言う事。
今は夜でしかもこんな見るから怪しい場所だ。居ないと考える方が無理なのかもしれない。
私はこくりと頷く。
「な、何？二人共どうしたの？」
「ううん、何でもない。あ、私達で最後みたい。行こっか」
「そうだな、さっさと行こうぜ。他の連中が待ってる」
「う、うん…？」
…もし、もしも本当に時間遡行軍が現れたら…薬研君一人に戦わす事になってしまう。
それに他の皆を巻き込んでしまう。
私にも、何か戦える力があったら…護る事が出来るのにな…。
私は無力、なのか？無力になりたくないのに。
私だって護りたいのに。強くなりたいのに。
私は………
「Aさんっ！」
名前を呼ばれハッとする。
そこは旧校舎の中で、名前を呼んだのは奴良君だと分かった。
薬研君も家長さんも奴良君も、心配そうに私を見ていた。
やば…。一瞬飛んでた。
「Aさん…、大丈夫？どうしたの？やっぱり怖い？」
「ごめん。大丈夫。リアルで妖怪とか居そうだな、って思ってただけ」
笑って誤魔化す。
本当に大した事ではないのだ。
只、自分が本当に無力なのを感じてしまっただけ。心配される事は何もない。
「なら、いいけど…。でも、もし怖かったらボクの手、握っててもいいからね？」
「うん、ありがとう…。奴良君はやっぱ優しいな」
「そっそんな事ないよ！普通普通！」
「優しいよ」
そう言って笑えば奴良君は顔を真っ赤にした。
薬研君は少し驚いた顔をした後、何かを考える様に手を顎に添えた。
でも、やっぱり私も強くなりたいよ。
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奥山乃愛(プロフ) - 出来たら全員出してほしいです……無理せずに頑張ってくださいね！ (2022年12月24日 10時) (
レス) @page38 id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
サヒア - 牡丹さん» いえいえ、指摘して頂いて助かりました。ありがとうございます！ (2018年3月6日 1時) (レス) id: c08842489f (このIDを非表示/違反報告)
サヒア - CANさん» わかります！まんばは最高ですよね！ (2018年3月6日 1時) (レス) id: c08842489f (このIDを非表示/違反報告)
牡丹 - すごく面白いです！あと、29の呪いの人形が呪いの人気となってます。いきなり指摘して申し訳ありません (2018年2月13日 16時) (レス) id: f8ceff626c (このIDを非表示/違反報告)
CAN(プロフ) - 切国ほんっとにカッコイイし可愛い！流石我の初期刀だわ！← (2018年1月23日 2時) (レス) id: 851af0ac90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サヒア | 作成日時：2017年9月2日 21時
