猗窩座になってるなんで【煉獄杏寿郎】

40 腹痛 ページ37

 

Aがお腹が痛いとうずくまっていた
医療に従事している蟲柱の胡蝶しのぶに診てもらおうかと千寿郎が思案する

しのぶや鬼研究の珠世なら治してくれるかもしれない。それどころか上弦の参の体を差し出せば大変喜ぶだろう

不死身の体をラットのように、新薬を飲まされ内臓をほじくり回され、永遠に好き放題される事は目に見えている

……お役に立ちたいけどやめとこ…こえーわ
それに禰󠄀豆子ちゃんだってそんな事されなかったし、わたしも大丈夫かな

独自の見解でこの件を終わりにした


｢Aちゃん、もしかしたら彼岸花かも…毒あるから…｣

緑の彼岸花を食べた。それかもしれない。鬼も腹痛になるのだと実感する

煉獄がAの様子を千寿郎から聞き、そばまで来ると腰を下ろした


「鬼なのに腹が痛むか」

「うーん、うーん」


顔を歪ませ冷や汗を流しているAの腹に手を置いた


「どこが痛い、さすってやる」


いつもなら飛び上がる程に嬉しい言葉だが今はそれどころではない


「ここか？」

「うーん」


腹辺りをさすさすと撫でる手は、暖かくて気持ちいい


｢ふむ、無駄のない良い筋肉だな。規格外に鍛え上げている。天晴れ！｣


素晴らしいと思えばたとえ鬼であろうと賞賛を惜しまない。天晴れなのは煉獄さんです！


しばらく撫でてもらい随分と楽になる。痛くなくなるとそこからは早い。嘘のように回復した

神の手だ。炎神さま！あなたを信仰します！と勝手に信者になる


｢すっかり治りました！神の手はだるくないですか？｣

｢うむ。…神？｣

｢ンフフ、煉獄さん、ありがとうございます｣


そう言って笑うAをしばらく凝視する


｢不思議だな。君と死闘を繰り広げたが、こうして普通に話をしている。更には俺の中に君を倒すという概念は無くなっている。元に戻ればそうは言ってられないが｣

｢だってわたしは＿

｢嫌いだと言った事を撤回する｣

｢！！！｣


撤回の言葉に嬉しくて涙が溢れる。自分の存在を認めてもらった気がした


「ふ、まさに鬼の目にも涙だな」

「Aだよ」

「分かっている」


性懲りも無く今ならいけるのではと手を伸ばし抱きつきに行く


「調子に乗るな！上弦の参！」

「…」

安定にガード堅い


でも…


いつもと違う

笑ってる

とても優しい目をして。
 

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