煉獄サンタ寿郎【煉獄杏寿郎】 (ページ6)

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「クリスマスだから？」  
「君のその笑顔を見るためだ」

Aに近づくと両手を顔の横に置き身体を密着させた。

 「カメラあるから…」  
「俺は気にしないが」

    唇に触れそうになった時、エレベーターが目的の階に止まり開く。流石に杏寿郎の動きが止まった。

  「うーん、先程からお預けされてる気分だ」

  「ジャケット着用は、ここ来るから？」  
「部屋着では来れないだろう」  
「杏寿郎なら何着ても似合う」

  杏寿郎がAを一瞬流し見てニヤリと口角を上げた。   

自覚あるんだ、自分がカッコいい事。決して間違いではない。

洗練された暗めな照明の夜景が映えるラウンジ。窓際のテーブル席はいっぱいでカウンター席についた。  お決まりのようにシャンパンを頼む。シュワシュワの炭酸が可愛い。

「広瀬」

   振り返ると職場の先輩が女の人といる。偶然に驚きながらも軽く会釈した。

「お疲れさまです」  
「おつかれ。ここに来てたのか」  
「はい」 
 「彼氏か」  

男が杏寿郎をチラっと見ながら言った。

「はい、先輩も？」
  「さあ、どうかな」

  意味ありげに微笑んでいる。彼女が何人もいるという噂だ｡

   「職場の先輩で中島さん」  
「別に聞いてないが」

  杏寿郎に紹介するが、ノリが悪い。

   「…あ、じゃ先輩また」
  「ふ…また会社で」    

杏寿郎が薄く笑ってる。Aが他の男に絡んでいたり話をする時に見る表情。嫉妬してくれてるのだろうか、嬉しい反面、ちょっと面倒くさいとも思う。
 
「なんで話しかけてくるんだ」  
「いつもお世話になっててね」

   「なんの世話だ。君の世話は俺がする」
  「そういう意味では」   

「まず君を見る目が気に入らない」
  「普通だ…」   

「ふってなんだそんなにふが食べたいか」
 「…ふ」   

｢また会社で。と言っていたな、もう会社に行かなくていい｣
  ｢……｣

｢思い出した。去年は杏寿郎の後輩に会ったよね？｣ 
｢覚えていない｣

   ｢ご飯行く約束してたんだっけ？｣
｢していないと言っただろう｣

  ｢覚えてるじゃない｣
  ｢今思い出しただけだ。この一連の話はこれでお終いだ！｣

  ｢自分から言い出しておいて｣

杏寿郎以外考えられない。分かってくれてれる筈なのに、この事態だけは今も昔も変わらない。同時に愛されてると実感する瞬間でもあった。

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