炎柱 無限列車でラブストーリーな件【煉獄杏寿郎】

32 恋人 ページ32

 


血に塗れた顔や身体、壮絶な亡骸だった

その変わり果てた姿に顔を覆う

涙はもう止まる事なく流れ出て



「煉獄さんは…自分の命を懸けて…っ

　俺たちを守ってくれた！
　
　ここにいる人達を…守ってくれたんだ！」



炭治郎の言葉に２人の隠の嗚咽が聞こえる


「炎…柱様…っ」

１人はもう我慢する事なく泣いていた



スッと目に入って来た顔は想像とは違い

とても穏やかだった

なんの悔いもなく晴々とした少年のような表情をしている




「…あの…、そろそろ…すみません」

「…は…い…。ありがとうございました…」


正面に立たれ暫く何か見られてるのだろうか

やがてゆっくりと丁寧に一礼された



他の隠達が一旦作業を止め

運ばれて行く亡骸へ直立不動になり一礼する

「炎柱様」とすすり泣く声も聞こえた

車中に乗り込むまで、動く者は誰もいない

そしてやはりその人達からも一礼される



凄い人だったんだ

私はこの凄い人に短時間であれ愛された

煉獄さんに助けられ生かしてもらっている



当分悲しみから逃れる事はできないけれども

これからの人生この凄い人に恥じないように生きて行こう

この人のようにまっすぐ前を向いて生きて行こう

またいつか生まれ変わった時ちゃんと胸を張って会えるように



瞼を閉じ最後に見たあの横顔の残像を目に焼き付けた





｢炭治郎くん、ありがとう。

炭治郎くんのおかげで最後、煉獄さんに会えた、会えた事後悔してない」


「うん」


彼もまた悲しみの中に前へ進めと希望の光を宿していた



「…恋人…って言って…くれ…たね…
　
　……ありが…とう…」


泣いて泣いて最後はちゃんと言えなかった


「う…ん…」


 

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